観客を指さして「ババア死ね」「ブスばっかりだ」ってやる客いじりも、オイラまでは「それはやらない約束」だったわけ。がんじがらめの中で、昔の芸人がやったことをそのままやったって勝ち目がないから、発想の転換で御法度をやったんだよな。
オイラが生み出した「新語」も規制の副産物だよな。
「チンポ」とか「コーマン」なんて言葉を作って、ど真ん中の放送禁止用語をセーフにしちまったし、「乞食」って言葉が使えないから「レゲエのおじさん」と言い換えた。「ホームレス」なんて無機質な言葉よりよっぽどマシだし、響きが温かいと思ってる。
何が言いたいかっていうと、「ルールが厳しきゃ厳しいほど宇宙は広がっていく」ってことなんだ。
各人のセンスと腕の見せ所というかさ。アメフトがアメリカ限定の人気なのに、サッカーが国際的に受け入れられているのは「手を使っちゃいけない」って制限があるからだよ。アルゼンチンのメッシが「天才的だ」っていわれるのは、手が使えない中で観客の想像を超えてくる動きをするからなんだよな。
つまり規制を正面から批判するだけじゃ何も変わらないし、芸がない。オイラたち作り手は、誰も想像しなかったやり方で規制を飛び越える手段を考えなきゃいけないと思うんだ。