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角居勝彦調教師 勝てるジョッキーのメンタルを解説

調教師はジョッキーをどう見ているのか

 レースでは、鞍上の一瞬の判断に任せるしかないことがしばしばだ。数々の名馬を世に送り出した調教師・角居勝彦氏による週刊ポストでの連載「競馬はもっともっと面白い 感性の法則」から、ジョッキーのメンタルについて解説する。

 * * *
 レースが終わると、調教師は続々と帰ってくる馬を出迎え、下馬したジョッキーと言葉をかわします。「1」のレーンに戻ってくる馬ならば、ジョッキーも調教師も笑顔です。「2」や「3」だと、ジョッキーは「惜しかった」という様子で、苦笑いの中に悔しさが見える。

 では、いいところなく着外だった馬の鞍上はどうでしょう。

 凡走の原因が自分の手綱にあるとき、ジョッキーの表情は神妙です。顔に「すみません」と書いてあって言葉が少ないジョッキーもいるし、「追い出し、遅かったです」と反省を言葉にするジョッキーもいる。調教師もジョッキーを責めたりしない。勝負は時の運ですから。

 ところが、ものの3分と経たないうちに、ジョッキーたちは変わります。神妙だったのに破顔一笑。ジョッキー仲間と話して爆笑する様を見ると、とても惨敗した直後の鞍上には見えません。あまりの変わり様に、「こいつ、アホちゃうか」などと思ってしまう(笑い)。

 しかしジョッキーはこうでなくてはいけない。気持ちの切り替えの早さこそがいいジョッキーのメンタルです。反省すべき点は反省して、決してネガティブな気持ちを引きずらない。すぐにやってくるレースへ、気持ちが向いているわけです。一日に何鞍も乗る競技者の特性でしょう。

 そんな一流ジョッキーが、しばらく勝ち鞍に恵まれない場合、「調子が悪い」という判断は早計でしょう。勝てないことを引きずっていないはずですから。

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