ライフ

酒は「百薬の長」か「万病の元」か どちらが正しいのか

適度に飲むべき? 一滴も飲まないべき?

「酒は百薬の長」とは、中国の歴史書『漢書』にある言葉で、〈酒は多くの薬の中で最もすぐれており、めでたい会合で嗜むよきものである〉(広辞苑)という意味だ。

 これを医学的に裏付けたのが英国のマーモット博士らが1981年に発表した「酒を全く飲まない人や、飲み過ぎる人より、適度に飲む方が死亡率が低い」(U字型死亡曲線)という研究結果だった。

 その研究は米国の疫学調査などでも認められて国際的な通説とされた。日本の男性では1日のアルコール摂取量10~19グラムが最も死亡率が低く、厚労省主導の国民健康推進運動・健康日本21では日本人の「節度ある適度な飲酒」として、1日平均純アルコールで約20グラム程度を推奨している。

 サッポロビールのHPではアルコール20グラムの目安として、

・ビール中瓶1本
・日本酒1合
・ワイン4分の1本
・缶チューハイ1.5缶
・ウイスキーダブル1杯

 をあげている。

 ところが、その後の研究で飲酒への風向きが変わる。WHO(国際保健機関)の下部機関「国際がん研究機関(IARC)」は、アルコールは口腔がん、咽頭がん、喉頭がん、食道がん、肝臓がんの原因になるとしてアルコール飲料の発がん性リスクを「喫煙」「ヒ素」などと同じ最も高いグループ1に分類(1987年)、2007年には酒が原因で発生するがんに結腸、直腸がんと女性の乳がんが追加された。

 これに基づいてWHOは、「日常的な適量飲酒」も、「たまの危険飲酒」も、「全世界的な公衆衛生上の問題を引き起こす」として飲酒を喫煙に次ぐ疾病リスクに位置づけ、アルコール世界戦略(飲酒規制)を推進していくのである。

 つまり、酒は百薬の長ではなく「万病(がん)の元」という主張だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン
花の井役を演じる小芝風花(NHKホームページより)
“清純派女優”小芝風花が大河『べらぼう』で“妖艶な遊女”役を好演 中国在住の実父に「異国まで届く評判」聞いた
NEWSポストセブン
2000年代からテレビや雑誌の辛口ファッションチェックで広く知られるようになったドン小西さん
《今夏の再婚を告白》デザイナー・ドン小西さんが選んだお相手は元妻「今年70になります」「やっぱり中身だなあ」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「王子と寝ろ」突然のバス事故で“余命4日”ののち命を絶った女性…告発していた“エプスタイン事件”【11歳を含む未成年者250名以上が被害に】
NEWSポストセブン
人気シンガーソングライターの優里(優里の公式HPより)
《音にクレームが》歌手・優里に“ご近所トラブル”「リフォーム後に騒音が…」本人が直撃に語った真相「音を気にかけてはいるんですけど」
NEWSポストセブン
ナンバープレートを折り曲げ集団走行する「旧車會」=[福岡県警提供](時事通信フォト)
《各地で増える”暴走”》駐車場を勝手に旧車會の集合場所とされた飲食店主「100台以上も…他のお客さんが入って来られん」と怒り
NEWSポストセブン
世界中を旅するロリィタモデルの夕霧わかなさん。身長は133センチ
「毎朝起きると服が血まみれに…」身長133センチのロリィタモデル・夕霧わかな(25)が明かした“アトピーの苦悩”、「両親は可哀想と写真を残していない」オシャレを諦めた過去
NEWSポストセブン
キャンパスライフをスタートされた悠仁さま
《5000字超えの意見書が…》悠仁さまが通う筑波大で警備強化、出入り口封鎖も 一般学生からは「厳しすぎて不便」との声
週刊ポスト
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
エライザちゃんと両親。Facebookには「どうか、みんな、ベイビーを強く抱きしめ、側から離れないでくれ。この悲しみは耐えられない」と綴っている(SNSより)
「この悲しみは耐えられない」生後7か月の赤ちゃんを愛犬・ピットブルが咬殺 議論を呼ぶ“スイッチが入ると相手が死ぬまで離さない”危険性【米国で悲劇、国内の規制は?】
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン