国内

「保守派」とオカルトや偽史との奇妙な親和的関係

評論家の呉智英氏

 近頃、保守派の論客と紹介されることがある評論家の呉智英氏だが、実は保守派と呼ばれるのを好まない。それというのも、オカルトや偽史に対して、保守派の人たちが親和的でありすぎるからだという。江戸時代からみられる具体的な実例をあげながら、保守とオカルトとの奇妙な親しさについて、呉氏が解説する。

 * * *
 最近「保守」がトレンディらしい。私も筆者紹介などで保守派の論客と書かれることがある。どうもお世辞のつもりらしい。他人が何と評そうと勝手ではあるが、私自身で保守派と称したことはない。私は自分の思想を「極左封建主義」と言っている。極左と封建主義がつながらないと思うのは思想史を知らない人の話で、王龍渓や李卓吾などは陽明学左派と呼ばれるし、禅学左派という名称もある(荒木見悟『仏教と儒教』など)。まあ私の場合は、極左冒険主義をもじった言葉であるのだけれど。

 私が保守派と呼ばれるのを好まないのは、この人たちがオカルトや偽史に親和的だからだ。江戸期には平田篤胤が神代文字を称えている。日本固有の古代文字だと言うが、どう見ても朝鮮のハングルだ。韓国で盗作問題となりはしないかと、私はひやひやしている。

 竹内文書という偽史文書もその一種だ。トンデモ本の古典として有名である。そんな竹内文書の本を書評欄で大きく紹介している保守系の全国紙がある。産経新聞だ。一月七日付書評欄に「『竹内文書』で読み解く史実」とあるけれど、どんな史実だろう。虚言師の書いた慰安婦強制連行記がおかしな“史実”を作り出したことを忘れたのだろうか。

 産経新聞は以前からオカルト記事を掲載してきた。古くは1991年に、教育欄で「早期超能力教育」を薦める連載があった。1995年のオウム真理教事件の時には、吉本隆明の「麻原彰晃を高く評価する」という妄論を載せ、さすがに読者から批判が殺到した。

関連記事

トピックス

園遊会に出席された愛子さまと佳子さま(時事通信フォト/JMPA)
「ルール違反では?」と危惧する声も…愛子さまと佳子さまの“赤色セットアップ”が物議、皇室ジャーナリストが語る“お召し物の色ルール”実情
NEWSポストセブン
(時事通信フォト)
「日本ではあまりパートナーは目立たない方がいい」高市早苗総理の夫婦の在り方、夫・山本拓氏は“ステルス旦那”発言 「帰ってきたら掃除をして入浴介助」総理が担う介護の壮絶な状況 
女性セブン
9月に開催した“全英バスツアー”の舞台裏を公開(インスタグラムより)
「車内で謎の上下運動」「大きく舌を出してストローを」“タダで行為できます”金髪美女インフルエンサーが公開した映像に意味深シーン
NEWSポストセブン
各地でクマの被害が相次いでいる(クマの画像はサンプルです/2023年秋田県でクマに襲われ負傷した男性)
《コォーってすごい声を出して頭をかじってくる》住宅地に出没するツキノワグマの恐怖「顔面を集中的に狙う」「1日6人を無差別に襲撃」熊の“おとなしくて怖がり”説はすでに崩壊
NEWSポストセブン
今年の”渋ハロ”はどうなるか──
《禁止だよ!迷惑ハロウィーン》有名ラッパー登場、過激コスプレ…昨年は渋谷で「乱痴気トラブル」も “渋ハロ”で起きていた「規制」と「ゆるみ」
NEWSポストセブン
「原点回帰」しつつある中川安奈・フリーアナ(本人のInstagramより)
《腰を突き出すトレーニング動画も…》中川安奈アナ、原点回帰の“けしからんインスタ投稿”で復活気配、NHK退社後の活躍のカギを握る“ラテン系のオープンなノリ”
NEWSポストセブン
真美子さんが完走した「母としてのシーズン」
《真美子さんの献身》「愛車で大谷翔平を送迎」奥様会でもお酒を断り…愛娘の子育てと夫のサポートを完遂した「母としての配慮」
NEWSポストセブン
11歳年上の交際相手に殺害されたとされるチャンタール・バダルさん(21)千葉県の工場でアルバイトをしていた
「肌が綺麗で、年齢より若く見える子」ホテルで交際相手の11歳年下ネパール留学生を殺害した浅香真美容疑者(32)は実家住みで夜勤アルバイト「元公務員の父と温厚な母と立派な家」
NEWSポストセブン
新恋人A氏と交際していることがわかった安達祐実
《新恋人発覚の安達祐実》沈黙の元夫・井戸田潤、現妻と「19歳娘」で3ショット…卒業式にも参加する“これからの家族の距離感”
NEWSポストセブン
「お前は俺に触ってくれと言っただろう」バレー部の顧問教師から突然呼び出され股間を…“男児の性被害”からなくならない誤解と偏見《深刻化するセカンドレイプ》
「お前は俺に触ってくれと言っただろう」バレー部の顧問教師から突然呼び出され股間を…“男児の性被害”からなくならない誤解と偏見《深刻化するセカンドレイプ》
NEWSポストセブン
大谷と真美子夫人の出勤ルーティンとは
《真美子さんとの出勤ルーティン》大谷翔平が「10万円前後のセレブ向けベビーカー」を押して球場入りする理由【愛娘とともにリラックス】
NEWSポストセブン
「秋の園遊会」でペールブルーを選ばれた皇后雅子さま(2025年10月28日、撮影/JMPA)
《洋装スタイルで魅せた》皇后雅子さま、秋の園遊会でペールブルーのセットアップをお召しに 寒色でもくすみカラーで秋らしさを感じさせるコーデ
NEWSポストセブン