慶應大学法学部教授の片山杜秀氏


佐藤:そうです。崩御の2週間ほど前に日本政府から在ロシア日本大使館に「崩御近し」と連絡が入りました。ロシア人との宴席やパーティは自粛するように、とのお達しもあった。

 そして崩御の報が入るとすぐに大使館に半旗を掲げて、弔意を示す記帳の準備をはじめた。さらにソ連側から大喪の礼に出席するのは誰か、ソ連の対日政策はどう変わるのか見極める……。まさに仕事として昭和の終焉に立ち合いました。

片山:私は25歳で慶應義塾大学の博士課程の1年目。日本政治思想史をやっているつもりで。当時はバブル経済まっただ中ですね。しかし私は“人生の墓場”とも言われていた、将来に展望もない大学院生活でしたから、その恩恵にはあまり浴しておらず(苦笑)。

佐藤:実は私もバブルを皮膚感覚で知らないんです。私は昭和60年に外務省に入って、翌年6月にイギリスに留学し、昭和62年8月からモスクワに移りました。ソ連ではゴルバチョフのペレストロイカが始まっていた。石けんや砂糖などが配給制という状況のなか、日本を知る手がかりとなったのが東京から送られてくるVHSでした。

 だからモスクワの自宅で観たホイチョイ・プロの『私をスキーに連れてって』(注1)や『彼女が水着にきがえたら』(注2)が、私にとってのバブルなんです。10年ほど前、やはりホイチョイ・プロが作った『バブルへGO!!』(注3)を見たあと知人に「若干の誇張はあるけどバブルってこんなもんだったよ」と教えてもらいました。それほど私は、バブルについて知らない。
 
【注1/1987年公開。原田知世主演。映画公開に前後してスキーブームが起こる】
【注2/1989年公開。上記に続く「ホイチョイ三部作」第二作。マリンスポーツが舞台に】
【注3/2007年公開。破綻寸前の日本経済を救うため阿部寛演ずる財務官僚が1990年にタイムスリップ】

トピックス

ロッカールームの写真が公開された(時事通信フォト)
「かわいらしいグミ」「透明の白いボックス」大谷翔平が公開したロッカールームに映り込んでいた“ふたつの異物”の正体
NEWSポストセブン
大谷と真美子さんの「冬のホーム」が観光地化の危機
《白パーカー私服姿とは異なり…》真美子さんが1年ぶりにレッドカーペット登場、注目される“ラグジュアリーなパンツドレス姿”【大谷翔平がオールスターゲーム出場】
NEWSポストセブン
和久井被告が法廷で“ブチギレ罵声”
【懲役15年】「ぶん殴ってでも返金させる」「そんなに刺した感触もなかった…」キャバクラ店経営女性をメッタ刺しにした和久井学被告、法廷で「後悔の念」見せず【新宿タワマン殺人・判決】
NEWSポストセブン
初の海外公務を行う予定の愛子さま(写真/共同通信社 )
愛子さま、初の海外公務で11月にラオスへ、王室文化が浸透しているヨーロッパ諸国ではなく、アジアの内陸国が選ばれた理由 雅子さまにも通じる国際貢献への思い 
女性セブン
几帳面な字で獄中での生活や宇都宮氏への感謝を綴った、りりちゃんからの手紙
《深層レポート》「私人間やめたい」頂き女子りりちゃん、獄中からの手紙 足しげく面会に通う母親が明かした現在の様子
女性セブン
“マエケン”こと前田健太投手(Instagramより)
《ママとパパはあなたを支える…》前田健太投手、別々で暮らす元女子アナ妻は夫の地元で地上120メートルの絶景バックに「ラグジュアリーな誕生日会の夜」
NEWSポストセブン
グリーンの縞柄のワンピースをお召しになった紀子さま(7月3日撮影、時事通信フォト)
《佳子さまと同じブランドでは?》紀子さま、万博で着用された“縞柄ワンピ”に専門家は「ウエストの部分が…」別物だと指摘【軍地彩弓のファッションNEWS】
NEWSポストセブン
和久井学被告が抱えていた恐ろしいほどの“復讐心”
「プラトニックな関係ならいいよ」和久井被告(52)が告白したキャバクラ経営被害女性からの“返答” 月収20〜30万円、実家暮らしの被告人が「結婚を疑わなかった理由」【新宿タワマン殺人・公判】
NEWSポストセブン
山下市郎容疑者(41)はなぜ凶行に走ったのか。その背景には男の”暴力性”や”執着心”があった
「あいつは俺の推し。あんな女、ほかにはいない」山下市郎容疑者の被害者への“ガチ恋”が強烈な殺意に変わった背景〈キレ癖、暴力性、執着心〉【浜松市ガールズバー刺殺】
NEWSポストセブン
英国の大学に通う中国人の留学生が性的暴行の罪で有罪に
「意識が朦朧とした女性が『STOP(やめて)』と抵抗して…」陪審員が涙した“英国史上最悪のレイプ犯の証拠動画”の存在《中国人留学生被告に終身刑言い渡し》
NEWSポストセブン
橋本環奈と中川大志が結婚へ
《橋本環奈と中川大志が結婚へ》破局説流れるなかでのプロポーズに「涙のYES」 “3億円マンション”で育んだ居心地の良い暮らし
NEWSポストセブン
10年に及ぶ山口組分裂抗争は終結したが…(司忍組長。時事通信フォト)
【全国のヤクザが司忍組長に暑中見舞い】六代目山口組が進める「平和共存外交」の全貌 抗争終結宣言も駅には多数の警官が厳重警戒
NEWSポストセブン