スポーツ

5月場所にキセタカブーム到来 稀勢の里と高安の兄弟物語

稀勢の里 高安とは相性抜群(公式HPより)

「高安(27才)に横綱にしてもらった」。これは、2場所連続で優勝した横綱・稀勢の里(30才)の最近の口癖だ。それには続きがある。

「今度はおれが、高安を大関に引っ張り上げる番だ」

 高安にとって大関昇進をかけた夏場所がまもなく開幕する(5月14日初日)。

「高安は初場所で11勝、春場所は12勝なので、この夏場所で10勝すれば大関昇進は間違いありません。相撲ファンは、1990年代の“若貴ブーム”をもじって、同じ田子ノ浦部屋所属の稀勢の里と高安を合わせ、“稀勢高(きせたか)ブーム”と呼んで盛り上がっています」(スポーツ紙相撲担当記者)

 相撲好きの市川海老蔵(39才)は春場所中、ツイッターに《田子の浦部屋の横綱と大関候補が強すぎて魅力的》と書き込んで2人を応援。場所前巡業では怪我で不在だった稀勢の里に代わって高安が一番人気。テレビで見ていた毛むくじゃらの体を目の当たりにした子供たちは「本当に毛がすごい!」と大喜びだった。

 3才差の2人の兄弟弟子の絆は固い。共に茨城県出身で、中学生までは野球に熱中。卒業と同時に鳴戸部屋の門を叩いた。

「努力家で無口、無骨なところがある稀勢の里と、平成生まれで音楽が好きでピアノも弾きツイッターも使いこなす気配り上手な高安は、性格は対照的ですが相性は抜群。角界一の猛稽古で知られていた鳴戸部屋で、年が近い2人は来る日も来る日も体をぶつけ合って切磋琢磨してきました」(前出・相撲記者)

 高安は厳しい稽古に音を上げ、脱走を企てること計7回。実家まで50kmを自転車で逃げたことも。そんな時には無口な稀勢の里が引き留め、「お前には才能がある」と繰り返し言い聞かせていたという。

 厳しいだけの兄弟関係ではない。毎年元日は銀座の高級寿司店『銀座 久兵衛』から山ほど出前して新年会を開くが、余ると稀勢の里が“お前の出番だ”と高安に食べさせる。お腹いっぱいの高安は苦しそうにしながらも嬉しそうにそれを平らげるのが風物詩だ。

 稀勢の里が今年の三月場所で大怪我をしながら奇跡の優勝を飾ると、高安は支度部屋で人目をはばからずに嗚咽し、号泣した。2人はこんな試練も乗り越えてきた。

「2011年に先代の鳴戸親方が亡くなると後継者選びで部屋が混乱。それに反発した2人が中心となって力士は全員、新部屋に移りました。“内紛”とも報じられ、思い出深い鳴戸部屋を去ることは2人にとってつらいことでしたが、『自分ひとりで強くなったと思うな』という故鳴戸親方の言葉を胸に、新しい部屋を成功させるため、それまで以上に団結して稽古に励みました」(前出・相撲記者)

 国技館が“稀勢高ブーム”に揺れる。

※女性セブン2017年5月25日号

関連記事

トピックス

《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
《悠仁さま成年式》雅子さまが魅せたオールホワイトコーデ、 夜はゴールドのセットアップ 愛子さまは可愛らしいペールピンクをチョイス
NEWSポストセブン
LUNA SEA・真矢
と元モー娘。・石黒彩(Instagramより)
《80歳になる金婚式までがんばってほしい》脳腫瘍公表のLUNA SEA・真矢へ愛妻・元モー娘。石黒彩の願い「妻へのプレゼントにウェディングドレスで銀婚式」
NEWSポストセブン
昨年10月の総裁選で石破首相と一騎打ちとなった高市早苗氏(時事通信フォト)
「高市早苗氏という“最後の切り札”を出すか、小泉進次郎氏で“延命”するか…」フィフィ氏が分析する総裁選の“ウラの争点”【石破茂首相が辞任表明】
NEWSポストセブン
万博で身につけた”天然うるし珠イヤリング“(2025年8月23日、撮影/JMPA)
《“佳子さま売れ”のなぜ?》2990円ニット、5500円イヤリング…プチプラで華やかに見せるファッションリーダーぶり
NEWSポストセブン
次の首相の後任はどうなるのか(時事通信フォト)
《自民党総裁有力候補に党内から不安》高市早苗氏は「右過ぎて参政党と連立なんてことも言い出しかねない」、小泉進次郎氏は「中身の薄さはいかんともしがたい」の評
NEWSポストセブン
阪神の中野拓夢(時事通信フォト)
《阪神優勝の立役者》選手会長・中野拓夢を献身的に支える“3歳年上のインスタグラマー妻”が貫く「徹底した配慮」
NEWSポストセブン
9年の濃厚な女優人生を駆け抜けた夏目雅子さん(撮影/田川清美)
《没後40年・夏目雅子さんを偲ぶ》永遠の「原石」として記憶に刻まれた女優 『瀬戸内少年野球団』での天真爛漫さは「技巧では決して表現できない境地」
週刊ポスト
朝比ライオさん
《マルチ2世家族の壮絶な実態》「母は姉の制服を切り刻み…」「包丁を手に『アンタを殺して私も死ぬ』と」京大合格も就職も母の“アップへの成果報告”に利用された
NEWSポストセブン
チームには多くの不安材料が
《大谷翔平のポストシーズンに不安材料》ドジャースで深刻な「セットアッパー&クローザー不足」、大谷をクローザーで起用するプランもあるか
週刊ポスト
ブリトニー・スピアーズ(時事通信フォト)
《ブリトニー・スピアーズの現在》“スケ感がスゴい”レオタード姿を公開…腰をくねらせ胸元をさすって踊る様子に「誰か助けてあげられないか?」とファンが心配 
NEWSポストセブン
政権の命運を握る存在に(時事通信フォト)
《岸田文雄・前首相の奸計》「加藤の乱」から学んだ倒閣運動 石破降ろしの汚れ役は旧安倍派や麻生派にやらせ、自らはキャスティングボートを握った
週刊ポスト
2013年に結婚した北島康介と音楽ユニット「girl next door」の千紗
《不倫報道で沈黙続ける北島康介》元ボーカル妻が過ごす「いつも通りの日常」SNSで垣間見えた“現在の夫婦関係”
NEWSポストセブン