昔の貧しさを覚えているから、私は今でも一食につき、餃子やシウマイなどを一品しか頼みません。宴会などでいろんな料理がズラリと並ぶのは野暮ったくてどうも好きになれない。
某局の番組で、最高峰の宮廷料理と言われる「満漢全席」を食べた時も、スープだけで20品もあってイヤになりました(苦笑)。
日本の中華料理は、味覚と同時に記憶の中に眠っている「懐かしさ」を味わえます。だからこそ、本場の絶品にも負けない人気を誇るのではないでしょうか。
【PROFILE】なかお・あきら/1942年千葉県生まれ。1964年「月曜日のユカ」で映画デビュー。俳優として活動するほか絵画や食にも造詣が深く、近年はバラエティ番組に多数出演しさらに活躍の場を広げている。
●構成/池田道大
※SAPIO2017年6月号