◆葬儀のブライダル化
別の事情もあるという。
「ブライダルビジネスが衰退したことで、ホテルなどによる『お別れ会』も目立ってきています。ブライダルのノウハウがふんだんに使われていて、立て続けに故人が生前好きだったという音楽を流したり、故人のメモリアルビデオを流したり過剰になりがちです。葬式に参列する人も、なんでもありのお別れの会に参加するつもりでいたほうがいいかもしれませんね」(鵜飼氏)
前出・島田氏は、「そもそも、現代の死は昔に比べると悲しいものではありません」と言う。
「80歳、90歳まで生きて大往生を遂げての死が多くなっているからです。介護などで疲れた家族は、ホッとすることもあるでしょう。それなのに、悲しみばかりを強調するような演出をされれば、白けてしまうのは当たり前ですし、過剰にお祭り騒ぎをするのもおかしいのです。死は立派に生きた人の自然なゴールだという考え方にシフトしていくべきでしょう。葬儀は、故人を忘れさせる手助けをする場でもあるのです」
葬式で驚かされて、寿命を縮めたくはないものだ。
※週刊ポスト2017年5月26日号