さらに、シナジー(相乗)効果を生むのはもっと難しい。M&Aをしても1+1=2のままなら、最初から別々に経営したほうがよいという話になる。二つの会社が一つになることによって、たとえば売り上げを2.3に増やしつつ、コストを1.7に抑えられれば、利益が0.6増える。それがシナジーというものだ。
しかし、私が見る限り、合併してシナジー効果があったケースはほとんどない。下手に被買収企業のコストを削ろうとすれば、反発が起きてサボタージュしたり、都合の悪い数字などを隠したりする。
また、A社とB社が合併したからといってA社のセールスマンにB社の商品、B社のセールスマンにA社の商品を一緒に売らせて売り上げを増やそうとしても、現実には至難の業である。営業や販売というのは、それほど単純なものではないからだ。
※週刊ポスト2017年6月9日号