もともとカメラマンを目指していたわけではなかった。多くのグラビアカメラマンのように学生時代に写真を学んだわけでもなく、明治大学を卒業後、アンティークショップでアルバイトをしていた。その店のオーナーが、ファッション誌を中心に活躍するカメラマン五味彬氏だった。たまたま始めたアルバイトをきっかけに、五味氏のアシスタントを務めるようになり、写真界に歩を進める。

「ドイツ人ファッションカメラマン、ヨーガン・テラーが、ヨウジヤマモトの撮影をする現場でアシスタントをしたときは、衝撃でした。ヨレヨレの服に、ぺらぺらのアディダスのナイロンバッグを持ってやってきて、鞄から無造作に入れられたカメラや機材を取り出し、次々に撮っていく。そんなイージーな現場だったのに、あがってきた写真はスペシャルだった」

 それまでのグラビアカメラマンとは異色の、技術的なことを優先しない藤代の撮影スタイルは、その影響を受けているのかもしれない。印象深い女優は、井川遥。「現場」という土俵に身を投げ出すタイプだった。

「言い方は悪いけど、バカになれる才能があって、なにも考えず躊躇せずにトーンと飛んでくる。その度胸にみんながハッと打たれる。今でもよく覚えていますが、『撮ります』といって、羽織りものをはずしたときのぽちゃっとした体の艶めかしさ。世に出るのを誰も止められないエネルギーを発散させていました。アデランスのCMでちょっと気になる女の子って感じの時期だったんですが、『時代に撮らされてる』と自覚しながら撮った想い出があります」

『月刊 井川遥』をはじめとして、毎回ひとりの女優に焦点を当てた写真集『月刊』シリーズ(新潮社)では、数々の斬新な写真を発表していった。西田ひかる、小川範子、中山エミリ、佐藤江梨子、吉岡美穂、安達祐実……などなど。忘れられないのが、池脇千鶴だという。

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