◆1990年代~2000年代 見せたい欲求からナチュラル志向へ
女性の体の意識改革となる大きな出来事となったのは1991年末の宮沢りえのヌード写真集『Santa Fe』の発売。これをきっかけに“女性らしい、きれいな体を見せたい”欲求が沸騰。1992年には“よせてあげて、もっとあげる”『グッドアップブラ』、1994年には『天使のブラ』が発売され、バストの谷間を“盛る”時代へ突入。
このままバストアップの時代が続くと思われたが、1995年以降の大きな自然災害や事件は人々の人生観に大きな影響を与え、消費行動を変えるきっかけに。メークも服もナチュラル化が進んだ。
2003年には、『ヌーブラ』がアメリカから上陸して大ブレーク。シリコン樹脂製の粘着層をバストに直接貼り付けるブラで、ベアトップや背中が開いたドレスもより大胆に着こなせるようになった。そして2008年になると、ブラとキャミが一体化した『ブラトップ』がユニクロから登場。ゆるくて快適なブラに「リラックス志向」の新しい流れができた。
2010年には、グラマラスな女性がタイトなシルエットで洋服をすっきりおしゃれに着こなせる『大きな胸を小さく見せるブラ』が誕生。着やせ効果で累計98万枚を突破し、“盛る”とは対極のブラの新市場を開拓した。
そして今、「ノンワイヤーブラ」という、ワイヤー独特のしめつけがなく、金属ではない独自の技術できれいな胸の形が維持できるという魔法のようなアイテムに女性たちは飛びついた。本誌が20~70代300人に「持っているブラジャーの種類」についてアンケートしたところ、複数回答可でノンワイヤーブラは、ワイヤーありブラの65.6%に次ぐ2位の55.3%となった。ワコールの「SUHADA」やトリンプの「ワンダーメイク」はブラジャー界の“サードウェーブ”と呼ばれている。そんな新しい波が私たちを寄せては返し、返してはまた寄せる――。
※女性セブン2017年6月22日号