佐藤:私も同じ考えです。ソ連の崩壊とともに重要になってくるのが、日本社会党の位置づけです。社会党と聞くと、土井たか子や辻元清美をイメージする人が多いのではないかと思います。でも実は、彼女たちは右翼社民で社会党のメインストリームじゃない。辻元さんはおそらくマルクスの『共産党宣言』を読んだ経験はないと思います。
社会党のメインストリームは労農派マルクス主義。特にマルクス・レーニン主義を指導原理とした社会主義協会に代表される左派です。ソ連崩壊で右翼社民が台頭して左派の力が失われていたから、自民党と社民党の連立が可能だったのです。
●さとう・まさる/1960年生まれ。1985年、同志社大学大学院神学研究科修了後、外務省入省。主な著書に『国家の罠』『自壊する帝国』など。共著に『新・リーダー論』『あぶない一神教』など。本誌連載5年分の論考をまとめた『世界観』(小学館新書)が発売中。
●かたやま・もりひで/1963年生まれ。慶應大学法学部教授。思想史研究家。慶應大学大学院法学研究科博士課程単位取得退学。『未完のファシズム』で司馬遼太郎賞受賞。近著に『近代天皇論』(島薗進氏との共著)。
※SAPIO2017年7月号