その後は年間83億円に据え置かれているが、官邸(内閣官房)の予算書を子細に見ると、政府広報予算枠以外にも、「マイナンバー制度の周知・広報」(約3億5000万円)「原子力利用に関する適切な情報発信」(約2億5000万円)などが計上され、今年度の官邸の実質的な広報予算は90億円を超えている。今年度までの5年間に安倍政権が増額した政府広報予算、すなわちマスコミ対策費はざっと150億円に達し、官邸のメディア籠絡の原資となった。元NHK政治部記者で評論家の川崎泰資氏が語る。
「安倍首相がメディア対策を重視したのは、第1次政権でメディアを敵に回したことで支持率が劇的に下がったという教訓があるからでしょう。首相の周囲では、萩生田光一・官房副長官がメディア工作に力を入れてきた。2年前に自民党の勉強会で安倍支持派の若手議員の『マスコミを懲らしめるには広告を止めればいい』という発言が批判された。あの会合にも萩生田氏が出席しています。広告費でメディアを押さえ込むというのは官邸の共通認識とみていいのではないか」
※週刊ポスト2017年7月14日号