濱田美栄コーチ(後ろ)と、指導する本田望結、本田紗来、白岩優奈選手


「平昌五輪、日本女子の最大のライバルはロシア勢になるでしょう。世界フィギュア2連覇中のエフゲニア・メドベージェワ(17)、今年の世界ジュニアで本田真凜選手を抑えて優勝したアリーナ・ザギトワ(15)に加え、ソチ五輪の金メダリスト、アデリナ・ソトニコワ(21)も意欲を見せている。彼女たちの武器は何といってもジャンプです。高難度の3回転・3回転を、点数が1.1倍になる後半に、ミスなく飛んでくる。さらに、少しでも点数を稼ぐために、両手をあげて飛ぶ(タノジャンプ)。ジャンプ構成では、昨年は宮原も本田も、ロシア勢には太刀打ちできていません。そんな中で、ロシア勢にはない魅力をアピールしようというのは、いい戦略だと思います。

 たとえば本田選手は、先シーズンの世界ジュニアでザキトワ選手に敗れたものの、演技構成点だけ見ると、ザキトワ選手より高い点数をもらっていました。彼女の表現力はすでに世界で評価されています。その本田選手が「トゥーランドット」という、東洋の美を前面に押し出したプログラムで滑ることで、より高い点数が期待できるではないでしょうか」

 日本人らしさ、アジア人らしさを表現するのは、フィギュアスケートの一つの伝統でもあるという。

「ここ数年は、アジア勢がフィギュアスケートを牽引しており、特段、アジアを強調することもなくなっていますが、欧米が強かった時代は、東洋の魅力は大きなアピールポイントになりました。たとえばリレハンメル(1994年)、長野(1998年)と、五輪で2大会連続銅メダルを獲得した中国の陳露(チェン・ルー)選手は、『ラストエンペラー』や『バタフライ・ラヴァーズ』など、自国を舞台にした身体に馴染む楽曲で独自の世界を作り上げ、高い評価を得ました」(前ライター)

 オリンピックシーズン、有力選手たちはそれぞれに“勝負プログラム”をそろえつつある。宮原や本田のように、<王道の名曲>をもってくる選手もいれば、もう一つ、過去のプログラムの中から<切り札>を切ってくるケースもある。五輪2連覇を狙う羽生結弦選手が今年のショートに、世界最高得点を記録したショパンの「バラード第1番」を再び選んだように。

「様々なプログラムをすべることで選手の表現力の幅は広がるものですが、その中でも、自分が滑りやすいプログラムというのはあるものです。また、過去に高い点数が出たプログラムは、評価がある程度定まっているから、安心して滑ることができる。勝負のかかるオリンピックに、そうしたプログラムを持ってくる選手は少なくありません。

 荒川さんがトリノで滑った「トゥーランドット」は、実は、トリノの2年前にも使っていたプログラムでした。彼女はこの曲で初めて世界フィギュア金メダルに輝いています。そうした成功体験があったからこそ、自信をもって滑ることができたのです」(前スポーツライター)

 昨シーズン、羽生に迫る活躍を見せた宇野昌磨選手(19、トヨタ自動車)もまた、2シーズン前に使った「トゥーランドット」を今年のフリーに再び使うと発表している。オリンピックという最高の舞台で、何を武器に戦うのか──。プログラム選びから、勝負は始まっている。

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