国内

新型オレオレ詐欺 津軽弁や薩摩弁等強い方言操るグループも

オレオレ詐欺に強い方言を操るグループが出現

 電話で家族になりすまし「オレオレ、オレだけど……」と金の無心をすることから「オレオレ詐欺」という呼び名が広まった特殊詐欺。やりとりの内容が世間に広まると、金が必要な状況にさらにリアリティを持たせるため、警官や弁護士、会社の上司などを複数で演じる劇場型も登場した。この手法も知られるようになったいま、津軽弁や薩摩弁など、強い訛りを使う手口が登場している。なぜ、方言を利用する方法が登場したのか、ライターの森鷹久氏が報告する。

* * *
「あ、お母さんね? おいばってんさ、ちょっと困ったことが起きてしまってね……。お金の話けども……」

 筆者の地元、佐賀県出身の友人宅にかかってきた、いわゆる「オレオレ詐欺」電話の冒頭部だ。友人の母親はすぐに「詐欺」だと察知し電話を切った。何しろその友人、名前は「男っぽい」のだが実は一人っ子の女性。母親は今年の始め頃から「方言を用いたオレオレ詐欺」電話がちょくちょくかかってくるようになったと話すが、この背景には、闇の名簿屋や半グレ集団が、次なるターゲットを探し始めた背景が見え隠れしている。

 検挙経験のある、特殊詐欺実行グループの元リーダーが、その理由を語る。

「標準語や関西弁を話すメジャーな地域の“リスト”が使えなくなってきた。そこで目をつけたのが、九州や東北など、田舎のリスト。田舎はほとんど手がつけられてない分、ほとんど”金鉱”状態だということで、一部の連中は方言を勉強してまで、電話をかけまくっていますが…」

 こう述べるとともに、彼はこの手法では「儲けられない」とも話す。実際に九州弁を使って「オレオレ詐欺」を実行しようとした半グレ集団が逮捕されたり、微妙にニュアンスの異なる津軽弁を使った電話に違和感を感じた女性が気づき、詐欺が未然に防がれた事例などもある。新しい手法だが、方言を使う詐欺の成功率が高いとは言いがたい。

 ならば、再び彼がいうところの「メジャーな地域のリスト」を利用すればよさそうだが、あまりに多くの詐欺犯達によってしゃぶり尽くされたリストは、すでに「使えなくなった」ので、使いやすいとは言いがたい方言を使わねばならないリストを利用するしかないという。

「われわれが利用する名簿屋には、高額納税者に多重債務者、高額なゴルフ会員権を持つ連中のリストから、出会い系サイト使用者や開運グッズ購入者、ダイエット薬購入者などといった、様々なリストが用意されています。ブラックなところでは“一度詐欺にあった連中”などを集めたリストもある。これは特に高額で取引され、かつ一度も使用されてなければ、数百万単位で売買されることもあるんです。しかし、きつい方言が使われるエリア以外の名簿は、もうほとんど使い尽くされて、詐欺に気がつかれてしまう。残ったのが方言エリアになってしまった。だから方言を勉強してまで、電話をかけるんです」(前出の元リーダー)

関連キーワード

関連記事

トピックス

劉勁松・中国外務省アジア局長(時事通信フォト)
「普段はそういったことはしない人」中国外交官の“両手ポケットイン”動画が拡散、日本側に「頭下げ」疑惑…中国側の“パフォーマンス”との見方も
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が年上女性と真剣交際していることがわかった
【本人が語った「大事な存在」】水上恒司(26)、初ロマンスは“マギー似”の年上女性 直撃に「別に隠すようなことではないと思うので」と堂々宣言
NEWSポストセブン
佳子さまの「多幸感メイク」驚きの声(2025年11月9日、写真/JMPA)
《最旬の「多幸感メイク」に驚きの声》佳子さま、“ふわふわ清楚ワンピース”の装いでメイクの印象を一変させていた 美容関係者は「この“すっぴん風”はまさに今季のトレンド」と称賛
NEWSポストセブン
ラオスに滞在中の天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月18日、撮影/横田紋子)
《ラオスの民族衣装も》愛子さま、動きやすいパンツスタイルでご視察 現地に寄り添うお気持ちあふれるコーデ
NEWSポストセブン
俳優の水上恒司が真剣交際していることがわかった
水上恒司(26)『中学聖日記』から7年…マギー似美女と“庶民派スーパーデート” 取材に「はい、お付き合いしてます」とコメント
NEWSポストセブン
韓国のガールズグループ「AFTERSCHOOL」の元メンバーで女優のNANA(Instagramより)
《ほっそりボディに浮き出た「腹筋」に再注目》韓国アイドル・NANA、自宅に侵入した強盗犯の男を“返り討ち”に…男が病院に搬送  
NEWSポストセブン
ラオスに到着された天皇皇后両陛下の長女・愛子さま(2025年11月17日、撮影/横田紋子)
《初の外国公式訪問》愛子さま、母・雅子さまの“定番”デザインでラオスに到着 ペールブルーのセットアップに白の縁取りでメリハリのある上品な装い
NEWSポストセブン
全国でクマによる被害が相次いでいる(AFLO/時事通信フォト)
「“穴持たず”を見つけたら、ためらわずに撃て」猟師の間で言われている「冬眠しない熊」との対峙方法《戦前の日本で発生した恐怖のヒグマ事件》
NEWSポストセブン
ドジャース入団時、真美子さんのために“結んだ特別な契約”
《スイートルームで愛娘と…》なぜ真美子さんは夫人会メンバーと一緒に観戦しないの? 大谷翔平がドジャース入団時に結んでいた“特別な契約”
NEWSポストセブン
山上徹也被告の公判に妹が出廷
「お兄ちゃんが守ってやる」山上徹也被告が“信頼する妹”に送っていたメールの内容…兄妹間で共有していた“家庭への怒り”【妹は今日出廷】
NEWSポストセブン
靖国神社の春と秋の例大祭、8月15日の終戦の日にはほぼ欠かさず参拝してきた高市早苗・首相(時事通信フォト)
高市早苗・首相「靖国神社電撃参拝プラン」が浮上、“Xデー”は安倍元首相が12年前の在任中に参拝した12月26日か 外交的にも政治日程上も制約が少なくなるタイミング
週刊ポスト
三重県を訪問された天皇皇后両陛下(2025年11月8日、撮影/JMPA)
《季節感あふれるアレンジ術》雅子さまの“秋の装い”、トレンドと歴史が組み合わさったブラウンコーデがすごい理由「スカーフ1枚で見違えるスタイル」【専門家が解説】
NEWSポストセブン