「ヤクザにとって大事な盃事を否定するのが本意ではないんです。ただ山口組では五代目・渡辺芳則組長以降、この30年間、盃が諸悪の根源になって来た。
盃を下ろした側(組長)は子分に対して、白い物を黒いといっても許されると考える。盃を下ろされた側(直参、直系組長)は親分からどんな理不尽なことを言われても、飲み込む、耐え抜いてこそ子分だといった変な美学がまかり通っている。
盃を下ろすまでは、組長になる人はそれぞれいい人なんです。が、下ろしたとたん、子分からお金の吸い上げ自由、自分の勝手と考える。こういった盃なら要らないということです。
しかるべき人物が現れ、トップになっても変わらないと確信できた段階で、組長の座にお迎えしたいと考えてます」
事実、「任侠団体山口組」では組長を置かず、親子盃、兄弟盃もしない。月会費はオール10万円以下。カネがかかるから他団体と交際せず、本部事務所も置かない。
織田のモットーは「ヤクザはヤクザらしく」。ヤクザなんだから服装は自由、黒服を強制しない。組員は安い会費で生活に余裕を持ち、せいぜいおしゃれを楽しみ、社会貢献せよ、というのだ。