「警察が暴力団をなんでもかんでもパクリよるのは、起訴より組事務所への家宅捜索が目的。そこで組織の動向動静、構成員の数や連絡先などを把握する。だから、これまでは逮捕されても不起訴となることが多かったが、これからは共謀罪で起訴までもっていかれるかもしれない。起訴されれば、組は裁判のために弁護士をつけ、家族の面倒も見なければならなくなる。出費は馬鹿にならない。共謀罪が兵糧攻めにつながる」
この危機感が、暴力団側の根底にあるようだ。前出・伊藤氏は言う。
「文書にあるように、捜査当局は暴力団を共謀罪の摘発第1号にするでしょう。共謀罪の対象となりうるケースはまさに暴力団のシノギで、謀議の認定がしやすい。これまでの摘発がそうであるように、暴力団を誤認逮捕しても誰も文句は言いません。
強行採決で法案を通した共謀罪の実績作りには、暴力団はもってこいの摘発対象。敵対する組織への襲撃準備なども対象となりうるので山口組分裂抗争の行方にも影響を及ぼすと見られています。暴力団がますます生きづらくなるのは間違いないでしょう」
だからこそ必死に法の網の目を抜ける対策を練っているのだ。
※週刊ポスト2017年8月4日号