〈暴力団組員らが、対立する暴力団の構成員を襲って監禁した上、拳銃で射殺することを計画〉は共謀罪の対象になり、〈会社の同僚数名が、居酒屋で、上司の悪口で盛り上がり、「殺してやろう」と意気投合〉は非対象。

〈暴力団組員らが、談合をしていると因縁を付けて事業者らから現金を騙し取ることを計画〉は対象だが、〈マンション建設に反対する町内会と環境保護NGOのメンバーらが、建設阻止運動の一環として、建設会社のロビーで座り込みをすることを計画〉は非対象などと解説。暴力団構成員は狙い撃ちにされる――という問題意識がうかがえる。

 この文書を目にしたある捜査関係者は、「俺らより勉強しているんじゃないかな」と驚きを隠さなかった。

◆「これは兵糧攻めだ」

 暴力団問題に詳しいジャーナリストの伊藤博敏氏はこう話す。

「暴対法や暴排条例が施行されたため、暴力団は自分の存在を消すことに長けてきた。すでに備えはあるといえるかもしれません」

 ただ、共謀罪への対策は従来の延長上にあるといっても、締め付けは確実に厳しくなるはずだ。前出の神戸山口組三次団体幹部は「一番、心配なのは起訴率があがることだ」と言う。

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