「記憶の中心的な役割を担うのは脳の海馬です。海馬の神経細胞は加齢によって減りますが、極端なストレスでも萎縮することがあります。官僚の方のように激務をこなしているとストレスが溜まるし、睡眠不足や運動不足になりやすい。海馬の機能の低下から、最近の記憶も維持できない可能性はあります」
米山氏は、記憶の仕組みに備わっている「抑制」の働きにも着目する。
「人は思い出したくない事柄を無意識のうちに忘れようとする。2人とも無意識に脳に抑制が働いて“記憶にない”という答弁になっているのかもしれません」
もっとも、森友問題で「国有地売却の交渉記録は破棄した」と言い続けた財務省の佐川宣寿・理財局長が、この7月に国税庁長官に出世したという“記憶”だけは、明確にあったのかもしれない。
柳瀬氏は「今回の“功績”で経産次官の目が出てきた」ともいわれるが、これほど記憶力が不安な人物が原発行政のトップに立つと考えたら空恐ろしい。
※週刊ポスト2017年8月11日号