中選挙区制では、自民党の与党体制は揺るがない。しかし、永年の一党体制では徐々に腐敗を生む。だから「政権交代がある選挙制度に改めねばならない」という結論になった。そのために「政権交代可能な保守2大政党」の時代を目指したのだ。小選挙区制への移行は、この「保守2大政党」の存在が大前提でもあったのだ。自民党にとっては盤石の立場を脅かすものだが、自民党内からも「政治不信をなくすために“腐敗臭”をなくそう」と多くが賛同し、導入された。
それから十数年後、確かに小選挙区制のもとで一度は民主党政権が誕生し政権交代は行われた。だが、すぐに国民の信頼を失い、自民党政権に戻った。当時の民主党政権を支持する国民は少ないだろう。7月の東京都議選で大敗を喫し、共産党に支えられる立場になってしまった民進党が今後、政権を取る可能性は限りなく低い。
つまりは、今でも結党以来の自民党政権が続いている、日本はずっと自民党が与党でいるということだ。それは、保守政党が自民党しかなかったことの表れでもある。健全で真っ当な対抗馬がいないことが、今の自民党の悲劇であるとも言えるのだ。
7月の東京都議選では、“反安倍”を掲げた勢力は力が及ばず、決して反安倍を標榜しなかった都民ファーストが大勝した。これは都民ファーストが自民から離れた票の受け皿になったわけで、人びとが保守政党を欲していることは結果を見て明らかである。
今後、自民党が真の保守政党になるためには、若手議員の再教育と宏池会系議員の排斥が必要だ。並行してやはり自民党に対抗できる別の保守政党が必要だ。国民も、自民党に対抗できる保守政党を欲している。