「1989年1月に昭和天皇が崩御。2月の昭和天皇大喪の礼に際して恩赦が実施されましたが、角栄氏は上告中で刑が確定していなかったため、その時の恩赦の対象とならなかった。当時の総理は袂を分かったとはいえ、角栄氏に恩義のある竹下登氏だったことを勘案すると、角栄氏が上告せずに二審判決を受け入れていたら、すぐに恩赦で公民権が回復した可能性は高かったと思われます」
因縁めいているのは角栄氏の娘婿・田中直紀氏の置かれている状況だ。2016年の参院選に民進党公認で出馬したが落選。選挙管理委員会に届け出ていない文書を配ったとして公選法違反(法定外文書頒布)で公民権停止5年の略式命令を受けている。
「処分は確定しているので、生前退位に伴う恩赦が実施されれば、対象になる可能性は高い。そうなれば、直紀氏が国政選挙に再チャレンジすることも考えられます」(前出・小林氏)
義父が受けられなかった恩赦の対象となるかもしれないのだ。直紀氏に直撃すると、
「恩赦の対象になるかもしれないなんて、そんな話は初めて聞きました。私は現在、政治活動はしておりませんので何もコメントする立場にありません」
と答えるのみだが、30年越しに田中家への恩赦は実現するのか。
※週刊ポスト2017年9月1日号