フランス政府もこうした状況を憂慮し、喫煙規制をさらに強めている。2006年に5ユーロ(約650円)だったたばこ1箱の値段を、約7ユーロ(約910円)と日本の2倍近くまで段階的に引き上げた。さらに、たばこの包装にブランドロゴの表示を認めず、喫煙で亡くなった人の写真を印刷させるなど過激な手法で何とか喫煙率を下げようとしているが、一向に減っていない。
「たばこが合法的に売られて喫煙者がゼロにならない以上、強引に禁煙にもっていく政策は意味がない。喫煙者のマナー意識を徹底させ、たばこが吸える環境を整備して残したほうが受動喫煙防止も期待できるし、何よりオリンピックでもよけいな混乱を招かない」
前出の飲食業界関係者はこう主張する。フランス・パリの喫煙事情やたばこ規制のあり方は、一足先に五輪を迎える東京の受動喫煙対策を深めるうえでも反面教師となるはずだ。