前述した日本テレビの『1周回って知らない話』は、テレビ朝日の『トットちゃん!』放送開始5日前に放送されました。「このタイミングで黒柳徹子さんをフィーチャーするなんて、他局へのアシストになりかねないのになぜ?」と思った人もいるのではないでしょうか。
しかし、民放各局のスタッフは、「テレビ朝日のアシストになったとしても、徹子さんのネタを扱いたい」と思っているのです。
徹子さんは64年もの間、第一線で活躍し続けてきただけに、中高年層からの支持が厚いのは言うまでもありません。さらに、ゴールデンタイムで『徹子の部屋スペシャル』が何度も放送され、嵐やマツコ・デラックスさんなどと共演したことで、若年層の人気もアップ。実際、今年5月には女性誌『FRaU』(講談社)の表紙を飾りましたし、これまでも国民的タレントでしたが、今なおアップデートを続けていることがわかります。
昨年4~6月に放送されたドラマ『トットてれび』(NHK)も、今年のフィーチャーにつながりました。同作は好評ながら30分×全7話のみで終了したため、「もっと見たい」「もっと知りたい」という声が続出。視聴者だけでなく、テレビマンたちも「やっぱり徹子さんは面白い」と感じ、その価値を再認識したからこそのオファーではないでしょうか。
タレントたちが「『徹子の部屋』に出ることを目標にしている」という側面もあります。『笑っていいとも!』(フジテレビ系)の終了以降、「出演したいトーク番組」が『徹子の部屋』だけになりました。特に芸人たちは、『アメトーーク!』(テレビ朝日系)で「徹子の部屋芸人」が放送されてからは、同番組への出演を目標にしているようです。
◆高齢芸能人の訃報が続く寂しい現実