「フロントの意図がいまいち読めません。今のようなコーチの完全分業制が整っていなかった1963年は別として、Bクラスの翌年に優勝した1976年と2007年は外部コーチを入れることでチーム改革をしました。1976年には、中日と阪神で監督を務めた杉下茂氏を投手コーチに迎い入れ、前年すぐに交代させて投手陣の不満を買っていた長嶋監督を制御する役割を果たしました。
2007年には、1980年代から90年代にかけて西武の黄金時代に三塁コーチとして敵に嫌がられ、西武やオリックスで監督経験のある伊原春樹氏を野手総合コーチとして招聘。原監督にしてみれば、現役時代に日本シリーズで辛酸をなめさせ続けられた伊原氏をコーチに迎えることは複雑な思いもあったはず。それでも、伊原コーチの意識改革が巨人を甦らせました」(同前)
球団史上初の最下位になった1975年は関根潤三ヘッドが翌年から2軍監督になり、初めて2年連続Bクラスに終わった2006年は近藤昭仁ヘッドが退任。他球団で活躍した大御所を迎え入れたことで、チームは優勝を飾ったのだ。
「逆に、堀内氏が投手コーチからヘッドコーチに昇格しただけで、目を引くようなコーチ人事のなかった1998年は3位に終わっています。1980年は青田昇氏がヘッドを務める予定でしたが、オフの舌禍問題で辞任した。この影響も、ペナントを逃した1つの要因でした。1991年に藤田元司監督が4位に終わった時は近藤昭仁ヘッド、松原誠打撃コーチ、江藤省三守備コーチが退任。1992年は高田繁氏、中西太氏という監督経験者がそれぞれヘッド、打撃コーチを務め、最後まで優勝争いを演じました。
今年の巨人はBクラスに終わったにもかかわらず、来季の新たな1軍コーチは吉村氏の復帰と2軍から豊田清氏と小関竜也氏が昇格しただけ。新たな血を入れないで、改革できるのか疑問です」
ほぼ無風の監督・コーチ人事が、来季の巨人の成績にどんな影響を及ぼすのか。