国内

待遇悪化に嘆く東芝社員「節電で暖房オフ、冬は本当に寒い」

「東芝愛」を持つ現役社員たちの嘆き

「ご心配をおかけして、心からお詫び申し上げます」。10月24日、千葉市内で開かれた臨時株主総会で、東芝の綱川智社長(62才)は深々と頭を下げた。総会では2時間52分にわたる審議の末に、グループ中核の半導体子会社『東芝メモリ』の売却などが承認された。出席した株主が憤る。

「壇上に居並ぶ経営陣は、いつも通りの形だけの謝罪を繰り返し、『悪いのは歴代トップだ』という思いがにじみ出ていた。東芝メモリはグループの収益の9割を稼ぐ中核企業です。それを売り渡すなんて、まさにお先真っ暗ですよ」

 かつて東芝は両国国技館で株主総会を開き、株主には国技館名物の焼き鳥弁当やお土産を配っていた。当時を知る別の株主も渋い顔だ。

「今は事前に『お土産、お弁当はご用意いたしておりません』という招集通知がくる始末です。将来的な展望がまったくなく、経営陣がひたすら謝る株主総会を見ると、あの“大東芝”が…と本当に情けなくなります」

 140年の歴史を誇る日本を代表する超名門企業、東芝が窮地に陥って久しい。東芝をここまで追いやった原因を簡潔にいえば、「粉飾決算」と「原発」である。『東芝崩壊 19万人の巨艦企業を沈めた真犯人』(宝島社)の著者・松崎隆司氏が指摘する。

「東芝の第三者委員会の報告書によると、西田厚聰氏が社長を務めていた2008年には不正会計が行われていたことがわかっています。西田氏は当時、『東芝チャレンジ』と称して、損失の圧縮を部下に厳しく求め、続く佐々木則夫社長と田中久雄社長もこれを踏襲した結果、部下はそのプレッシャーから不正会計を繰り返した。3社長の言う『チャレンジしろ』は、『不正をしてでも利益を出せ』ということを意味していたのです」

 この不正会計が2015年7月に内部告発で発覚し、東芝が過去7年間で1500億円を超える利益を水増しし、長期にわたって粉飾決算していた事実が明らかになった。経営危機に陥った東芝は1万4000人規模の人員削減や半導体チップなどの事業の売却を余儀なくされた。

 さらに2017年2月には、米子会社のウェスチングハウス(WH)の原子力事業が原因で、約7125億円もの巨額損失を計上することを発表した。

「結果として東芝は2017年3月期決算で約5500億円の債務超過に陥り、東証2部に降格しました。このまま債務超過を放置していると来年3月で上場廃止となるので、現在は必死になって子会社の売却や人員整理などのリストラを進めています」(経済ジャーナリストの磯山友幸氏)

◆現役社員達からあがる嘆きの声と「東芝愛」

関連キーワード

関連記事

トピックス

モンゴル滞在を終えて帰国された雅子さま(撮影/JMPA)
雅子さま、戦後80年の“かつてないほどの公務の連続”で体調は極限に近い状態か 夏の3度の静養に愛子さまが同行、スケジュールは美智子さまへの配慮も 
女性セブン
場所前には苦悩も明かしていた新横綱・大の里
新横綱・大の里、場所前に明かしていた苦悩と覚悟 苦手の名古屋場所は「唯一無二の横綱」への起点場所となるか
週刊ポスト
LINEヤフー現役社員の木村絵里子さん
LINEヤフー現役社員がグラビア挑戦で美しいカラダを披露「上司や同僚も応援してくれています」
NEWSポストセブン
医療的ケア児の娘を殺害した母親の公判が行われた(左はイメージ/Getty、右は福岡地裁/時事通信)
24時間介護が必要な「医療的ケア児の娘」を殺害…無理心中を計った母親の“心の線”を切った「夫の何気ない言葉」【判決・執行猶予付き懲役3年】
NEWSポストセブン
運転席に座る広末涼子容疑者
《事故後初の肉声》広末涼子、「ご心配をおかけしました」騒動を音声配信で謝罪 主婦業に励む近況伝える
NEWSポストセブン
近況について語った渡邊渚さん(撮影/西條彰仁)
渡邊渚さんが綴る自身の「健康状態」の変化 PTSD発症から2年が経ち「生きることを選択できるようになってきた」
NEWSポストセブン
昨年12月23日、福島県喜多方市の山間部にある民家にクマが出現した(写真はイメージです)
《またもクレーム殺到》「クマを殺すな」「クマがいる土地に人間が住んでるんだ!」ヒグマ駆除後に北海道の役場に電話相次ぐ…猟友会は「ヒグマの肉食化が進んでいる」と警鐘
NEWSポストセブン
レッドカーペットを彩った真美子さんのピアス(時事通信)
《価格は6万9300円》真美子さんがレッドカーペットで披露した“個性的なピアス”はLAデザイナーのハンドメイド品! セレクトショップ店員が驚きの声「どこで見つけてくれたのか…」【大谷翔平と手繋ぎ登壇】
NEWSポストセブン
鶴保庸介氏の失言は和歌山選挙区の自民党候補・二階伸康氏にも逆風か
「二階一族を全滅させる戦い」との声も…鶴保庸介氏「運がいいことに能登で地震」発言も攻撃材料になる和歌山選挙区「一族郎党、根こそぎ潰す」戦国時代のような様相に
NEWSポストセブン
竹内朋香さん(左)と山下市郎容疑者(左写真は飲食店紹介サイトより。現在は削除済み)
《浜松ガールズバー殺人》被害者・竹内朋香さん(27)の夫の慟哭「妻はとばっちりを受けただけ」「常連の客に自分の家族が殺されるなんて思うかよ」
週刊ポスト
真美子さん着用のピアスを製作したジュエリー工房の経営者が語った「驚きと喜び」
《真美子さん着用で話題》“個性的なピアス”を手がけたLAデザイナーの共同経営者が語った“驚きと興奮”「子どもの頃からドジャースファンで…」【大谷翔平と手繋ぎでレッドカーペット】
NEWSポストセブン
サークル活動に精を出す悠仁さま(2025年4月、茨城県つくば市。撮影/JMPA)
《普通の大学生として過ごす等身大の姿》悠仁さまが筑波大キャンパス生活で選んだ“人気ブランドのシューズ”ロゴ入りでも気にせず着用
週刊ポスト