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相撲好き女子が述懐 残酷な十両昇進見送り「下田事件」

2006年に幕下付け出しでデビューした下田(写真:共同通信社)

 相撲ブームが沸騰している。「謎のスー女」こと相撲女子の尾崎しのぶ氏が、相撲コラムを週刊ポストで執筆中。今回は、かつて大相撲力士として戦い、アマチュア復帰をした下田について尾崎氏が綴る。

 * * *
 尾車親方(元大関・琴風)が「北海道の人たちに矢後の名前を広めるのも親孝行。慌ててヤゴからトンボになる必要はない。羽が出て飛び出したらつける」と語った。

 昨年のアマチュア横綱の矢後。かつては相撲王国であったが近頃は旭大星しか関取がいなくなっていた北海道からの大型新人。幕下十五枚目格付け出しで初土俵を踏んだ五月場所からたった二場所(五勝、七勝)での十両昇進にぴったりはまる、「まだ未熟だ」と笑いを含んだ話を誘う良い本名が、尾車親方に粋な発言をさせた。

 学生時代の矢後の活躍をおさらいするつもりでベースボール・マガジン社『相撲』を開いたのに、同じページに載っている「二〇一六年度の元大相撲力士のアマチュア復帰」の記事に意識がさらわれてしまった。

久保田光(二十九歳)。所属・京都府。四股名・嵐潮。東関部屋。最高位・西幕下四十四枚目。
下田圭将(三十二歳)。所属・東京都。四股名・若圭将。追手風部屋。最高位・西幕下筆頭。
前田一輝(二十八歳)。所属・兵庫県。四股名・大神風。高田川部屋。最高位・西幕下三十二枚目。

 嵐潮は覚えていないが、大神風は知っている。眉毛が特徴的だった。もう一人の下田は覚えているどころか、相撲そのものから関心を失うまで忘れられない力士だ(昨年五月のアマチュア復帰ももちろん知っていた)。彼の身に起こったことを、仲間内では「下田事件」と呼んでいる。

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