なぜそのようなお寒い事態になってしまったのか。平昌五輪は、朴槿恵政権における崔順実スキャンダルの影響で、民間企業からの支援が停滞し、寄付金や協賛金が集まらなかった。さらに雪不足対策で人工雪製造機を導入するなど運営予算が膨れ上がり、予定より3000億ウォン(約300億円)も不足した。
「支出を圧縮するため、メイン会場は五輪後に取り壊せる簡素な構造になった。そのため『観客が一斉に移動すると揺れる』といわれる安普請で、暖房設備も不足している。観客には腰掛け毛布とカイロが配られるというが、それで対策になるのか」(韓国紙記者)
競技会場にも懸念は山積。スキージャンプ会場は山頂に設置されたため強風にさらされる。2009年の初の国際大会では米国の選手が突風で墜落し、大怪我を負った。
「最近、地元自治体がジャンプ台の周囲270メートルにわたって防風幕を設置したが、今度は幕の影響で風向きがコロコロ変わるため、危険が増したと批判された」(韓国のスポーツ紙記者)
カーリング会場では今年3月、氷面に亀裂が生じた。
「どの競技会場も突貫工事の感は否めない。ジャンプやアルペンスキーなど命に関わる競技も多い。大事故にならなければいいが……」(同前)
近年、韓国では平沢国際大橋(8月)や慶州リゾート体育館(2014年)など“人災”による建造物崩壊が相次いでいるだけに杞憂とは片付けられない。
※週刊ポスト2017年11月24日号