「ですが、今度は皇嗣となられる秋篠宮殿下の事情がかかわってきます。宮内庁がお世話する体制も皇嗣職という現在の東宮職に準じた組織になりますので、職員も大幅に増えます。当然、現在の秋篠宮邸だけでは手狭になりますので、隣接している赤坂東邸もお使いになるかもしれません。そうなると、両陛下の仮住まいとしては使えなくなります」(皇室ジャーナリスト・山下晋司氏)
葉山御用邸や京都、奈良は、物理的な距離が大きなハードルになるという。
「両陛下は、“他の皇族方と交流できる距離がいい”というご希望をお持ちだそうです。そのお心の内には、天皇皇后として果たされてきた強いお気持ちを、残された時間を使って次代に伝えていきたいという思いがあるのではないでしょうか。現状の皇室典範では、皇太子さまに続いて、秋篠宮さま、悠仁さまと皇位が継承されていきます。近くにお住まいになり、平和へのお気持ちや、国民の安寧を願われる姿勢を引き継がれていきたいということなのでしょう。
また、両陛下は折に触れて女性皇族の存在の重要性を意識されてきました。現在の皇室には、未成年の女性皇族は愛子さまだけ。真子さまの婚約が内定し、この先も女性皇族が続々と皇室を離れてしまうかもしれない現状にあって、愛子さまに期待されるお気持ちも大きいのだと思います」(前出・皇室ジャーナリスト)
◆美智子さまの“ご実家”まで歩ける
現在、皇室には陛下に加え、18名の皇族方がいらっしゃる。皇居にお住まいなのは両陛下のみ。赤坂御用地には皇太子家と秋篠宮家、三笠宮家、高円宮家の14名。陛下の弟にあたる常陸宮さまとその妃の華子さまは、「常盤松御用邸」(東京都渋谷区)にある常陸宮邸で暮らされている。
戦前に東伏見宮邸があった同地では、1950年から皇太子時代の独身の陛下が暮らされた。1959年に美智子さまと「世紀のご成婚」を遂げられてから、翌1960年に現在の東宮御所に移り住まれるまでの約1年間、両陛下が新婚生活を送られた場所でもある。旧高松宮邸に両陛下が引っ越しをされれば、常陸宮邸のように“飛び地”となる。