協会改革を掲げてきた貴乃花親方は、事前の候補者調整で各一門が理事ポストを分け合い、本場所、地方巡業を含め様々な興行の利益配分を行なう既存体制に強い疑念を投げかけてきた。
2010年の理事選では、所属していた二所ノ関一門を割って出馬。貴乃花一門を立ち上げ、「貴の乱」「クーデター」と騒がれた。
そして昨年の理事長選では、敗れたものの正面から協会トップの座に挑んだ。
「今回の事件は、『貴クーデター・第3幕』の幕開けになりうる」(同前)
もちろん、“開戦”となれば、主流派も黙ってはいないだろう。
「貴乃花親方も現執行部派から批判に晒されるようになるでしょう。事件が起きたこと自体に責任はなくても、巡業中の事件であり、巡業部長として責任を問われ、理事から降格処分となるかもしれない。また、協会に報告せずに被害届を提出したことでも責められる。ただ、貴乃花親方は、自分のグループの票で理事の座には戻れるし、なにより、世論を味方につけられると踏んでいるのではないか」(同前)
土俵外の闘いはむしろこれから、待ったなしの本番を迎える。
※週刊ポスト2017年12月1日号