◆4回転と3回転では「2倍以上」の得点差

 たとえば、4回転ルッツの基礎点は「13.6点」。この基礎点に出来栄え点(質を評価する点数)がつくと、最大で「16.6点」になる。ちなみに3回転ルッツの基礎点は「6.0点」。3回転と4回転には、2倍以上の得点差があるのだ。

 では、フィギュアスケートの他の要素であるスピンやステップを見てみよう。スピンの中で最も高い得点が得られるのは、「足換えコンビネーション」スピンである。これで最高のレベル4を獲得し、最大の出来栄え点を得たとしても、得点は「5点」である。

 同様に、ステップで最高のレベル4を獲得し、最大の出来栄え点を得たとしても、「6点」なのだ。

 フィギュアスケートにはジャンプやスピンなどの技術に点数をつける「技術点」のほかに、いわゆる表現力といわれる「演技構成点」があり、2つの合計点で競う。スピンやステップの出来は「演技構成点」にもかかわってくるため、基礎点が低いから磨かなくていいというわけではもちろんない。しかし、技術点を上げるには、高難度ジャンプを成功させるのが最も確実であることは、現行の採点方法を見れば一目瞭然なのだ。

 現行ルールを“4回転偏重”と表現することもできるだろう。しかし、このルールには理由と背景がある。フィギュアスケートに詳しいスポーツライターはこう解説する。

「2010年のバンクーバーオリンピックで、4回転を一度も飛ばなかったライサチェック選手が金メダルを取りました。ショートでもフリーでも4回転を決めたプルシェンコ選手が、演技の質と確実性を重視したライサチェック選手に負けたのです。この結果にプルシェンコ選手が抗議し、“4回転論争”が起きました。以降、4回転をはじめとする高難度ジャンプをもっと評価しようという流れが強くなったのです」

 以後、男子は4回転時代に突入。いまや4回転を3本も4本も飛ばなければ、メダルは望めない時代となった。とはいえ、挑戦にリスクはつきものである。金メダルを狙う男女のエースがこの時期にケガを負ったのは、選手本人たちはもちろんのこと、ファンにとっても辛い現実だ。

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