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自分の遺伝子分かれば事前に「未来のがん」切除も可能

遺伝子解析の進化で医療の常識も変化している

 医学の分野で進む遺伝子研究。病気は「遺伝」が原因となるのか、それとも生活習慣などの「環境」が引き起こすのかという研究が進んでいる。病気と遺伝の関係を理解するメリットは大きい。何より重要なのは、「予防治療」に活かせることである。

 近年、病気と遺伝の関係で大きな議論を呼んだのが、ハリウッド女優のアンジェリーナ・ジョリー(42)の決断だ。2013年に母親を乳がんで亡くした後に遺伝子検査を受診すると、「BRCA1」という遺伝子に特殊な変異が見つかり、「将来乳がんになる確率は87%」と診断された彼女は、両乳房を全摘出する手術を受けた。つまり、“遺伝性のがんを予防する”ために手術を受けたのだ。彼女の手術は「治療は病気になってからするもの」という医療の根幹を揺るがしたため、賛否両論を巻き起こした。

 だが、このような「予防的切除」にはリスクもある。たとえば遺伝的要素の占める割合が高い前立腺がんの場合、前立腺を摘出したら射精ができなくなってしまうのだ。同様に大腸がんで大腸を全摘したら、人工肛門が必要になる場合もある。手術するか否かは、患者のQOL(生活の質)を考慮した判断が必要となる。

 一方で糖尿病や高血圧などに生活習慣病に関連する遺伝子の場合は、予防に取り組みやすい。みなと芝クリニック院長の川本徹氏はこう指摘する。

「たとえインスリンの働きを抑える遺伝子を持っていても、ウォーキングなどの運動や食生活の改善で糖尿病の予防効果を高められます。高血圧も同様に生活習慣病対策が有効になります」

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