生活習慣の改善は認知症予防にも役立つ。

「アルツハイマー型認知症のリスクを高める『APOE4遺伝子』を持つ人は生活習慣を見直す必要があります。たとえば暴飲暴食をして膵臓からインスリンが分泌されたら、インスリンを分解する酵素が腎臓から出ます。

 この分解酵素は認知症の原因のひとつとされる脳内のアミロイドβを溶かす働きがありますが、インスリンにばかりかまっているとアミロイドβが脳内に蓄積して認知症が進行します。『APOE4遺伝子』など、認知症のリスク遺伝子を持っている場合は糖尿病にならない生活習慣を心がけたい」(横浜新都市脳神経外科病院内科認知症診断センター部長の眞鍋雄太氏)

◆親より先に認知症に

 以上のように続々とリスク遺伝子が明らかになると、多くの人が親の既往歴を参考にするだろう。

 そこで気をつけたいのは、遺伝には「表現促進現象」という特徴があること。遺伝性の疾患が、次世代では若年時に発症しやすくなるという現象である。

「たとえば70代で親が認知症になったら、遺伝的要素を受け継いだ子供は50代や60代など、親より若い年齢で認知症を発症しやすくなる。これが『表現促進現象』です。親の病気を参考にする際は、この“タイムラグ”を頭に入れておくべきです」(眞鍋氏)

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