ここでいう“あの仕打ち”とは、2010年5月に数十名の力士や親方の関与が発覚した野球賭博事件に際しての処分を指す。この時は貴乃花親方と盟友関係にあった大嶽親方(当時、元関脇・貴闘力)が、事件に関与したとして協会から解雇処分を受けた。

「9人の力士が起訴されるなか、貴闘力は物証が乏しいとして不起訴(嫌疑不十分)になりましたが、賭け金が大きかったという理由で協会からは真っ先に解雇された。この時、貴乃花親方は臨時理事会で辞職願まで出して処分に抗議したが、受理されなかった経緯がある。貴乃花親方が一門を割って出馬した『貴の乱』(2010年2月)の直後だったこともあって、“貴グループ潰し”の報復と受け止めていた。

 自分に近い者ばかり厳正に処分され、自分の弟子に暴行した横綱は引退処分にもならないのでは親方も納得いくはずがない。7年前の大嶽親方処分との矛盾を挙げて、協会を厳しく追及し、徹底抗戦する覚悟でいる」(同前)

 ベテラン記者はこういう。

「加えて、現在の貴乃花のブレーンとみられているのが北の湖・前理事長(故人)の時代に顧問として相撲協会の事務を取り仕切ってきた人物だ。この元顧問は、八角体制になってから協会を追い出され、不当解雇だとして協会と裁判で争っている最中だ。現在の執行部と対立する元顧問からすれば、復権するには貴乃花理事長体制を誕生させるしかなく、これが最後のチャンスとみているはずだ。もともと、協会の会計なども管理していた人物だから、どんな“金銭スキャンダル爆弾”が飛び出してもおかしくない」

※週刊ポスト2017年12月8日号

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