「老人が多い地域、地方の過疎地域では、今もエロ本の需要がある。北海道や九州の過疎地域では、エロ本の品揃えがよいほど客が増えた、ということもあるくらい、コンビニの主要商品でした。だたやはり、時代の流れには敵いません」(ミニストップ店長)
前出の編集者は、今回の決定に憤りながらも「エロ本など売れない」と開き直る。
「エロ本を買っているのは、ネットに疎い中高年だけ。若い子は皆インターネットで成人向けコンテンツを見ている。ネットには田舎も都会も関係ないので、日本中の若者がエロ本を買わなくなりました。売れなくなったことで、金をかけて作れない。最近のエロ本はアダルトビデオ会社からもらったスチール写真を使いまわして、アダルトビデオのサンプルDVDを特典につけて……と、もはやアダルトビデオの紹介ツールと化している。これが300円でも売れないんですから……」
これらの雑誌はコンビニ以外でも、例えば雑誌の通販サイトなどを通じて気軽に買うことが可能ではあるが、そこまでして「エロ本が欲しい」という需要は少ない。当然に扱い数は激減、遠くないうちにこちら(通販)も「淘汰されるはず」と、見通しは暗い。そうなれば、まさに「エロ本」の文化は完全に消えて無くなってしまうが、結局のところ「エロ」というコンテンツ自体は永遠に無くなることはなく、中高年であっても”エロ”に触れたければ、デジタル機器に挑まざるを得なくなる。
「一部の出版社は、携帯で見ることができるアダルトコンテンツ開発などにも力を入れています。ただ、紙とは性質が全く違うので受け入れられるまでには時間がかかると思いますが……。動画を縦型にして、スマホで見やすくしたり、熟年女優を多く起用したりと、中高年を取り込む努力はしている」(前出の編集者)
一方、同じアダルトコンテンツでも「BL(ボーイズラブ)」などのジャンルは、今なお紙コンテンツでの需要が高い。出版社の判断で縮小を余儀なくされている成人向け雑誌の制作者たちは、BLというジャンルへシフトしている。
かつては「河原に落ちているらしい」「友人の兄貴の机の上に……」など、筆者にとっても「エロ本」は思い入れのある「文化」の一つだったが、その灯火が消えかけようとしている様は、少し物寂しい気がしている。