『科捜研の女』は一昨年、ドラマで描かれた捜査法が実際の現場でも導入されたこと等を受けて、京都府警から表彰された。これもリアルを追求したからこそ。藤崎絵三プロデューサーが言う。
「まったくのSFでは意味がないんです。日本では使われていないけど海外では取り入れられている手法や、まもなく導入されそうな技術までとことん調べてドラマに描きます。何人もの専門家のかたに監修していただき、専門機関に取材することもある。
また、セットで使われている機材は本物。科学機器メーカーから借りている電子顕微鏡やDNAを調べる機械など、何百万、何千万円のものが並んでいたりします。銃の弾道を調べる鑑定のように現物を用意できない鑑定は、助監督と美術さんが試行錯誤し、本物に近いシーンを実現させている。18年かけて作り上げたノウハウがあるから、簡単に真似できないリアリティーを実現できるんです」
◆勧善懲悪な「水戸黄門パターン」がイイ
3作品には「1話完結」という共通点もある。これもまたヒットの大きな理由だ。『視聴率15%を保証します!』(小学館)の著者で、テレビ朝日在籍中に『土曜ワイド劇場』『暴れん坊将軍』などのヒット作を生み出してきた高橋浩さんの話。
「悪役が出てきて、必ず最後に退治されるという『水戸黄門』的な勧善懲悪な展開は、視聴者をスカッとさせるんでしょう。テレ朝は昔から、トレンディードラマやファミリードラマより、『土曜ワイド劇場』『はぐれ刑事純情派』のような1話完結ドラマを得意としてきました。そうしたドラマも同様の作り方なんです」
オチはわかっているのに最後まで見てしまう、古典落語のような魅力。それはラストに向かうまでに“え?”と思わせる展開があるから。
「心がけているのは予定調和にならないこと。最後は大門未知子がキメてくれる、とわかっているだけに、そこに至るまでの葛藤や人間関係で“まさか”と思ってもらえるような展開の読めない作りにしています」(内山さん)
『科捜研の女』を手がける東映のチーフプロデューサー・塚田英明さんも「長く続いているからこそ飽きない工夫をしている」と話す。
「リアルを追求するということはもちろんですが、前シーズンからは“榊マリコの衝撃的なワンカット”というインパクトある映像を盛り込んでいます。視聴者の皆さんにも大変好評。マリコを演じる沢口靖子さんもとてもノリノリで“お菓子作りでいうとバニラエッセンスの風味づけのようなもの”と言ってくださっている。そういう予想外のカットがあるからこそ楽しんでいただけるのだと思います」
※女性セブン2017年12月21日号