客側にも「驕り」がないか、省みる必要があるだろう。会社の上司や医者など権威のある人物の前では小さくなっていても、飲食店の店員やタクシー運転手の前では居丈高になる──というのはよく聞く話だ。映画監督の井筒和幸氏がいう。
「確かにロボットみたいなマニュアル対応や慇懃無礼な若い店員に嫌な思いをすることは多い。でもいい歳した大人がそれにイライラしても仕方がない。クレームつけたって、自分がストレスを溜めこんでしまうだけ。店員に気の利いた対応を求めるなら、自分も柔軟で大らかでありたい。そう考えればいろんなことが許せるようになる」
客と店員で立場は違えども、あるいは数十年の歳の差があろうとも、「人こそ人の鏡」なのだ。
※週刊ポスト2017年12月22日号