書家・金澤翔子さんの筆による一円相の前で


──どんな相手でも慣れれば上手くいくと。

木宮:貧乏だった祖父は歯を磨いたことがなく、30代で総入れ歯になったんですね。昔の入れ歯ですし、口の中にはたいへんな違和感があるわけです。けれど、受け入れて慣れてしまえば、歯は磨かなくていいし、こんなラクなことはない。奥さんも同じで、他人なのだから、異物ではあるけれど、異物だと思って過ごしていたら上手くいかない。受け入れてしまえば、寄りかかれるし、助け合えるし、一人より二人のほうがいいね、となるんです。

 もちろん、一度受け入れたところで、やっぱり腹は立ちます。入れ歯だって、今日はどうも調子が悪いなという日もある。そこはどうしても我慢が必要になります。

◆人間は一人で正しく生きられるほど立派じゃない

──どこまで我慢をすべきなのか。我慢してまで結婚をする必要はない、とも思いますし、ある程度の我慢は必要とも思う。その塩梅が難しいです。

木宮:吉縁会を始めた頃、わがまま人が多いな、と感じたんです。都会で開催するほど感じました。わがまま、という印象がどこから来るかと考えたとき、一人暮らしが多いからだと気付きました。一つ屋根の下で複数人で暮らしていると、どうしたって問題が起きるんです。便座を上げるとか下げるとかささいなことで揉める。でも、自分以外の誰かとぶつかることで、人間は“カド”が取れていくんですね。

 一人で自由気ままに生活していると、ぶつかる機会がなくなって、いつの間にか、カドがゴツゴツした鋭利な人間になっていく。そういう状態で、いざ他人と接すると、カドが出てるから、ぶつかるんです。やっぱり人間って、一人で立派に生きられるほどの能力はないんですね。ある人もいるかもしれないけど、それはほんの一握りの特別な人。社会や他人に生かされていないとだめなんです。

──【前編】で、結婚よりも、幸せに生きることが大事、というお話がありましたが、木宮さんご自身の考え方としては、結婚したほうがいいと思いますか?

木宮:私の思いとしては、とにかく幸せになってもらいたい。だから、結婚して幸せでもいいし、独身で幸せでもいいんです。ただ、一人よりは二人のほうがいいんじゃないかとは思いますね。先ほど言ったように、ほとんどの人間は一人で正しく生きられるほど立派じゃない。だからどんな相手だって、たとえタイプじゃなくても、稼ぎが悪くても、隣に誰かがいるだけで、支えになってくれるだろうし、衝突をすることでカドが取れて、やさしいお爺ちゃん、かわいいお婆ちゃんになっていけますからね。

 一緒にいるのは友人でもいいのかもしれませんが、とりあえず一回結婚してみたらどうですか、と思います。こんなこと言うと怒られちゃうかもしれませんが、もしもダメなら、いまは昔にくらべて、離婚もできるようになりましたしね。少なくとも婚活に来ているような、結婚したいと思う気持ちのある人には、シンプルに飛び込んでみたらいいと言いたいですね。

関連キーワード

関連記事

トピックス

米倉涼子の“バタバタ”が年を越しそうだ
《米倉涼子の自宅マンションにメディア集結の“真相”》恋人ダンサーの教室には「取材お断り」の張り紙が…捜査関係者は「年が明けてもバタバタ」との見立て
NEWSポストセブン
地雷系メイクの小原容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「家もなく待機所で寝泊まり」「かけ持ちで朝から晩まで…」赤ちゃんの遺体を冷蔵庫に遺棄、“地雷系メイクの嬢”だった小原麗容疑者の素顔
NEWSポストセブン
渡邊渚さん
(撮影/松田忠雄)
「スカートが短いから痴漢してOKなんておかしい」 渡邊渚さんが「加害者が守られがちな痴漢事件」について思うこと
NEWSポストセブン
平沼翔太外野手、森咲智美(時事通信フォト/Instagramより)
《プロ野球選手の夫が突然在阪球団に移籍》沈黙する妻で元グラドル・森咲智美の意外な反応「そんなに急に…」
NEWSポストセブン
死体遺棄・損壊の容疑がかかっている小原麗容疑者(店舗ホームページより。現在は削除済み)
「人形かと思ったら赤ちゃんだった」地雷系メイクの“嬢” 小原麗容疑者が乳児遺体を切断し冷凍庫へ…6か月以上も犯行がバレなかったわけ 《錦糸町・乳児遺棄事件》
NEWSポストセブン
11月27日、映画『ペリリュー 楽園のゲルニカ』を鑑賞した愛子さま(時事通信フォト)
愛子さま「公務で使った年季が入ったバッグ」は雅子さまの“おさがり”か これまでも母娘でアクセサリーや小物を共有
NEWSポストセブン
安福久美子容疑者(69)は被害者夫の高羽悟さんに思いを寄せていたとみられる(左:共同通信)
【名古屋主婦殺害】被害者の夫は「安福容疑者の親友」に想いを寄せていた…親友が語った胸中「どうしてこんなことになったのって」
NEWSポストセブン
高市早苗・首相はどんな“野望”を抱き、何をやろうとしているのか(時事通信フォト)
《高市首相は2026年に何をやるつもりなのか?》「スパイ防止法」「国旗毀損罪」「日本版CIA創設法案」…予想されるタカ派法案の提出、狙うは保守勢力による政権基盤強化か
週刊ポスト
62歳の誕生日を迎えられた皇后雅子さま(2025年12月3日、写真/宮内庁提供)
《累計閲覧数は12億回超え》国民の注目の的となっている宮内庁インスタグラム 「いいね」ランキング上位には天皇ご一家の「タケノコ掘り」「海水浴」 
女性セブン
米女優のミラーナ・ヴァイントルーブ(38)
《倫理性を問う声》「額が高いほど色気が増します」LA大規模山火事への50万ドル寄付を集めた米・女優(38)、“セクシー写真”と引き換えに…手法に賛否集まる
NEWSポストセブン
ネックレスを着けた大谷がハワイの不動産関係者の投稿に(共同通信)
《ハワイでネックレスを合わせて》大谷翔平の“垢抜け”は「真美子さんとの出会い」以降に…オフシーズンに目撃された「さりげないオシャレ」
NEWSポストセブン
中居正広氏の近況は(時事通信フォト)
《再スタート準備》中居正広氏が進める「違約金返済」、今も売却せず所有し続ける「亡き父にプレゼントしたマンション」…長兄は直撃に言葉少な
NEWSポストセブン