芸能

『西郷どん』 注目は男にも女にもモテる未熟でうかつな主人公

新大河として注目の集まる『西郷どん』(公式HPより)

 明治維新の立役者のひとり、西郷隆盛の生涯を描くNHK大河ドラマ『西郷どん』。鈴木亮平(34才)が演じることでも話題を集めているが、新大河の魅力はどこにあるのか? コラムニストでテレビ解説者の木村隆志さんが解説する。

 * * *
 いよいよ2018年の大河ドラマ『西郷どん』が始まります。主人公は「明治維新の英雄」として誰もがその名を知る西郷隆盛。しかし、西郷の人生は、日本史の授業で習ったような薩長同盟や倒幕に留まらず波乱万丈で、肖像写真が一枚もないように謎も多いなど、ドラマ化するには格好の人物です。

『西郷どん』最大の見どころは、主人公・西郷隆盛の全身から放たれる魅力。キャストやスタッフがコメントしているほか、ホームページなどでも何度となく「男にも女にもモテる」というフレーズが使われていますが、「視聴者からもモテそうな」人物設定がなされているのです。

◆女性作家・女性脚本家が描く「男の中の男」

 西郷は貧しい下級武士の家に育ちながらも、人と故郷を愛す大らかな心の持ち主。豪快に話し、笑い、食べるほか、困った人は放っておけず自分のお金や食べ物をあげてしまうお人好しです。

 特筆すべきは、脇が甘く、スキだらけの人物像。愚直で行動力がある一方、決して聖人君子ではなく、随所に未熟さやうかつさを見せて、何度となく失敗をしてしまいます。たとえば、ケンカで腕が不自由になり、2度の島流しに遭い、3度も結婚したほか、明治維新を成し遂げながらも西南戦争で自ら命を絶つという最後まで、英雄にしては失敗の多い人生と言えるでしょう。そんな失敗で立ちふさがった壁をぶち破り、成功を勝ち取る姿が人間くさく、爽快感があるのです。

 西郷を演じる鈴木亮平さんは、まさに縦横無尽。表情や声から、腕、足の先まで、全身を使った躍動感のある役作りで、視聴者に元気を与えるような演技を見せています。鈴木さん自身、「吉之助(西郷隆盛)は全部を背負っていく人間」「ここぞの時は“どん!”と猛進するほど血気盛ん」と語っているように、視聴者は何度となく器の大きさを感じさせられるのではないでしょうか。

 面白いのは西郷を描く2人が、ともに女性であること。原作の林真理子さんと脚本の中園ミホさんは、ともに女性の生き方を描く名手だけに、対極に位置する「男の中の男」西郷隆盛をどう描いていくのか。これまでとは異なるイメージの西郷隆盛像が見られるでしょう。

◆愛し、愛されるリーダーが脚光を浴びる年に

関連記事

トピックス

ドラフト1位の大谷に次いでドラフト2位で入団した森本龍弥さん(時事通信)
「二次会には絶対来なかった」大谷翔平に次ぐドラフト2位だった森本龍弥さんが明かす野球人生と“大谷の素顔”…「グラウンドに誰もいなくなってから1人で黙々と練習」
NEWSポストセブン
渡邊渚さん(撮影/藤本和典)
「私にとっての2025年の漢字は『出』です」 渡邊渚さんが綴る「新しい年にチャレンジしたこと」
NEWSポストセブン
ラオスを訪問された愛子さま(写真/共同通信社)
《「水光肌メイク」に絶賛の声》愛子さま「内側から発光しているようなツヤ感」の美肌の秘密 美容関係者は「清潔感・品格・フレッシュさの三拍子がそろった理想の皇族メイク」と分析
NEWSポストセブン
2009年8月6日に世田谷区の自宅で亡くなった大原麗子
《私は絶対にやらない》大原麗子さんが孤独な最期を迎えたベッドルーム「女優だから信念を曲げたくない」金銭苦のなかで断り続けた“意外な仕事” 
NEWSポストセブン
国宝級イケメンとして女性ファンが多い八木(本人のInstagramより)
「国宝級イケメン」FANTASTICS・八木勇征(28)が“韓国系カリスマギャル”と破局していた 原因となった“価値感の違い”
NEWSポストセブン
実力もファンサービスも超一流
【密着グラフ】新大関・安青錦、冬巡業ではファンサービスも超一流「今は自分がやるべきことをしっかり集中してやりたい」史上最速横綱の偉業に向けて勝負の1年
週刊ポスト
今回公開された資料には若い女性と見られる人物がクリントン氏の肩に手を回している写真などが含まれていた
「君は年を取りすぎている」「マッサージの仕事名目で…」当時16歳の性的虐待の被害者女性が訴え “エプスタインファイル”公開で見える人身売買事件のリアル
NEWSポストセブン
タレントでプロレスラーの上原わかな
「この体型ってプロレス的にはプラスなのかな?」ウエスト58センチ、太もも59センチの上原わかながムチムチボディを肯定できるようになった理由【2023年リングデビュー】
NEWSポストセブン
12月30日『レコード大賞』が放送される(インスタグラムより)
《度重なる限界説》レコード大賞、「大みそか→30日」への放送日移動から20年間踏み留まっている本質的な理由 
NEWSポストセブン
「戦後80年 戦争と子どもたち」を鑑賞された秋篠宮ご夫妻と佳子さま、悠仁さま(2025年12月26日、時事通信フォト)
《天皇ご一家との違いも》秋篠宮ご一家のモノトーンコーデ ストライプ柄ネクタイ&シルバー系アクセ、佳子さまは黒バッグで引き締め
NEWSポストセブン
ハリウッド進出を果たした水野美紀(時事通信フォト)
《バッキバキに仕上がった肉体》女優・水野美紀(51)が血生臭く殴り合う「母親ファイター」熱演し悲願のハリウッドデビュー、娘を同伴し現場で見せた“母の顔” 
NEWSポストセブン
六代目山口組の司忍組長(時事通信フォト)
《六代目山口組の抗争相手が沈黙を破る》神戸山口組、絆會、池田組が2026年も「強硬姿勢」 警察も警戒再強化へ
NEWSポストセブン