古谷:ここで考えなければならないのは、女性議員がそこに安住してしまっていることだと思うんです。稲田朋美(58・自民・衆5期)なんて、保守のおじいちゃんにちやほやされて、あれよあれよという間に防衛大臣に就任した。結局すぐに日報問題で辞任に追い込まれましたが。
杉田水脈(50・自民・衆2期)も同じです。市職員だった女性が保守のおじさんに「憂国の士」とおだてられて政治の世界に登場した。閉鎖空間でしかモテないオタクサークルの姫的な存在になり、本人たちは満足する。だから努力も切磋琢磨もしない。男性優位社会に、逆に甘えているのではないでしょうか。
舛添:右寄りの女性議員といって思い出すのが、山谷えり子(67・自民・参3期)です。私が議員時代のことです。自民党内で憲法改正の議論中に山谷が「しき嶋のやまとごころを……」と本居宣長の敷島の歌を暗唱しはじめた。みんな唖然としていました。
古谷:それは「八紘一宇」という言葉を唐突に口にする三原じゅん子(53・自民・参2期)にも共通しますね。ぼくは、彼女たちは伝統的な反共右翼ではなく、「スピリチュアル右翼」だと見ています。
スピリチュアル右翼は神話の世界や神道、『古事記』に傾倒して、なぜか土や水を大切にする。その典型が、政治家ではありませんが、安倍昭恵(55)です。僕は女性議員の右傾化を「スピリチュアル右翼」というトレンドから読み解けるのではないかと考えているんです。
【PROFILE】ふるや・つねひら/1982年北海道生まれ。立命館大学文学部史学科(日本史)卒業。文筆家。主な著書に『左翼も右翼もウソばかり』『草食系のための対米自立論』『「意識高い系」の研究』。最新刊に『「道徳自警団」がニッポンを滅ぼす』。
【PROFILE】ますぞえ・よういち/1948年福岡県北九州市生まれ。1971年東京大学法学部政治学科卒業。2001年参議院議員(自民党)に初当選し、厚生労働大臣等を歴任。2014年2月、都知事就任。2016年6月、辞任。辞任後初となる著書『都知事失格』が弊社より発売中。
※SAPIO2018年1・2月号