価格はオプジーボと同程度で、1回の治療に数千万円かかるとみられている。オプジーボやアテゾリズマブは、体内にある免疫細胞を活性化させる薬だった。しかし、体質やがんの種類によっては免疫細胞が活性化しないケースもあった。
そこで、免疫細胞を外部から“強制的に”活性化させる方法として考案されたのが「遺伝子改変T細胞療法」だ。
これは、がん患者の血液を採取して取り出したT細胞(免疫細胞の一種)を遺伝子から組み換え、がん細胞を狙い撃ちする能力を加えて患者の体内に戻す療法のことだ。いわば、免疫細胞を“がん攻撃専門部隊”に鍛えあげて、体内に戻し、がんを撲滅させるのである。
すでに実績もある。昨年、米国で血液のがんを対象にした遺伝子改変T細胞療法薬「キムリア」が発売されると、オプジーボを上回る治療成績を叩き出し、一躍注目を集めた。と同時に、1回の治療費が47万5000ドル(約5400万円)であることも世界中を驚かせた。
日本でも今年3月をめどに遺伝子改変T細胞療法の治験が始まる予定だ。
※週刊ポスト2018年1月12・19日号