今作のような「ダメな人間に見せかけて実はスゴイ」という人物設定は、木村拓哉さんの代表作であり、唯一続編が作られた『HERO』(フジテレビ系)と同じ。また、同作で当初、久利生(木村拓哉)に江上(勝村政信)や芝山(阿部寛)が批判的だったように、『BG』でも島崎(木村拓哉)に同僚の高梨(斎藤工)や警視庁SPの落合(江口洋介)が厳しい言葉を浴びせるシーンが目立ちました。この人物設定と対立図式が視聴者にうまくハマれば、『HERO』のようにファンを増やし、シリーズ化の可能性も十分あるでしょう。
そのシリーズ化こそ、「なぜ今、ボディーガード?」という答えの1つ。前述したようにテレビ朝日は連ドラのほとんどをシリーズ作で占めるだけに、当然『BG』も視野に入れているでしょう。
「週替わりでさまざまな人物を警護する」というコンセプトは、「一話完結で多彩なパターンの物語が可能」「大物ゲストを呼んで盛り上げられる」などシリーズ化に最適。さらに、脚本を手がける井上由美子さんは、『緊急取調室』(テレビ朝日系)で同局のシリーズ作戦略に貢献した実績があります。
もし不安があるとすれば、木村さんの肉体面。今作では、江口さんや斎藤さんら長身でタフな印象の強い俳優と共演しますが、もともと木村さんがこれまでの連ドラで得意だったのは「ケンカは弱いけど正義感と発想力で勝負」というキャラでした。それだけに、今作のような力強いイメージやダイナミックな動きが要求される役柄では若干の不安が残ります。
ただ、木村さんは「最初にこのドラマのお話を聞いたとき、“ボディーガード”という職業をテーマに選んでくれたことに感謝したい、と思いました」と語るなど、意気込みは相当なもの。そんな不安を払拭してくれるかもしれません。
◆妻は誰が演じ、どう護り抜くのか?