これまで木村拓哉さんは、ピアニスト、美容師、検事、パイロット、レーサー、アイスホッケー選手、総理大臣、脳科学者、インテリアメーカー社長、南極越冬隊員、物理学者、魔法瓶会社社長、証券営業マン、医者など、さまざまな職業を演じてきました。
かつては一般の人には縁遠い職業が多く「カッコイイ木村拓哉」を演出していましたが、近年は身近な職業が増えて「ナチュラルな木村拓哉」にシフト。しかし、今作はそのナチュラル路線を踏襲しながらも、「カッコイイ木村拓哉」に回帰しているのです。
第1話では、工事現場での警備からはじまり、上司から怒られて謝る、妻と別れ子どもから皮肉を言われる、警護の下見で競技場に入り土下座させられる、ベンチが壊れて大きくコケる、犯人に殴り蹴られるなど、等身大の40代中年男性を思わせるシーンが続きました。また、「怖い」「かなり緊張しています」と、弱さを隠すことなく見せていたのです。
その一方で、いざ警護のシーンになると、銃も手錠も持たない丸腰ながら、勇敢に振る舞い、傷を負いながらも犯人を取り押さえました。この「丸腰で攻撃を受け続けながらも勇敢に戦う」という姿が、SMAP解散騒動以来続く、木村拓哉さん自身の状況に近い気がするのです。
実際、川島誠史プロデューサーは、「人生の再起をかけて立ち上がる男の姿を通して、木村拓哉さんの新しい顔を、全スタッフ一丸となって引き出していきたいと思っています」と意味深なコメントをしていました。
なぜ今、ボディーガードという職業が選ばれたのか? 「木村拓哉さんが単にカッコイイから」ではなく、「木村拓哉さんが現在持つ内面のカッコよさと、ボディーガードのカッコよさをオーバーラップさせよう」としているのではないでしょうか。
◆シリーズ化に最適な設定と脚本家