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奨学金の大盤振る舞い 学生募集に悩む大学には“恵みの雨”

奨学金大盤振る舞いは誰のためなのか(時事通信フォト)

 受験シーズンいよいよ本番。受験生は、春からの学生生活への希望に胸を膨らませ、入試に臨む。だが、その試練を乗り越えて入学した新入生の約半数が、卒業時におよそ300万円もの“借金”を背負うという現実はあまり知られていない。奨学金の負債である。

「奨学金」といえば、かつては成績優秀な苦学生のためのものだった。日本育英会(現・日本学生支援機構)の貸与基準は厳しく、20年前までは大学生の約10人に1人しか受給できなかった。だが借金をしても、その後の「大卒」の価値はそれを補って余りあるものだった。大手企業に職を得れば、返済に困るような事態にはならなかったからだ。

 しかし、いまや奨学生の実態は大きく変わった。国の奨学金制度が拡充され、成績や親の収入などの基準が緩和され貸与枠も大幅に拡大された(※)。“苦学生”でなくとも奨学金を借りやすくなったのだ。

【※1999年度の成績要件の緩和、貸与月額の選択制導入が実施されて以降、段階的に要件が緩和されてきた。昨年にも1学年の貸与人数を4.4万人増やす(第1種)などの大幅な緩和がなされている】

 地方から上京して都内の私大に通うMさん(21)は1年時から奨学金を借りた。

「仕送りが足りないので日本学生支援機構から限度いっぱいの月額12万円の奨学金を受けています。サークルの幹事をやって、ゼミもあるからあまりバイトはしていません。奨学金がなかったらバイトに追われていたんじゃないでしょうか」

 そう淡々と話すのが今時の奨学生の姿なのだ。“誰でも借りられる”ようになり、奨学生は激増した。奨学金の受給者数は20年前の約46万人から現在(2017年度)は130万人まで増え、いまや大学生の2人に1人(約51%)が何らかの奨学金を受けている。受給総額は年間1兆円を超えた。

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