中国では「インターネット安全法」が一昨年11月に制定され、昨年6月1日に施行されており、取り締り件数の増加は同法の施行がきっかけであることは明らかだ。
標的となったのは、中国版LINE(ライン)と呼ばれる騰訊控股(テンセント)のスマホ向け無料対話アプリ「微信(ウィーチャット)」、新浪が運営するSNS「微博(ウェイボ)」、百度(バイドゥ)のネット掲示板「ティエバ」で、3社の合計の利用者は中国の人口の13億人を上回る。
同法については中国内ばかりでなく、日米欧諸国間でも懸念が広がっている。同法が「サイバー空間の主権の維持」を目的としており、中国で集めた顧客データの中国国内での保存や、海外に持ち出す際の当局の審査を義務づける内容も含まれているからだ。北京の日系企業のある顧問弁護士は「中国当局の運用しだいで、外国企業の中国事業に大きな制約となり、世界貿易機関(WTO)の場を中心に日米欧が連携して対処する必要がある」との懸念を表明している。
とはいえ、ロイター通信は「中国当局の厳しい措置は習近平国家主席が実権を握り始めた5年前から始まった」と報じており、今後も一層のネット規制強化が予想される。