最後に釣りやハワイなど水辺のロケのたびに木梨に水中に落とされ続けたADが「最後に憲武さんを落とさないことには」と、セット奥に用意した熱闘風呂に案内。だが、案の定、AD自身が突き落とされ、ゴルゴ松本ら芸人も落下。そして水浸しの男たちが勢ぞろいで振り向くとそろいのTシャツに「石橋ラブ」「木梨ラブ」「いつも本当に」「ありがとう」「とんねるず最高」と書かれているという仕掛けだった。
仕込み丸出し。高校の文化祭みたいである。だが、流れはそれでいい。もともと、とんねるずの芸風は、文化祭なのである。先生のものまねや買い食い、罰ゲーム、ズボンの脱がしあいや水に落としあいといった悪ふざけ、女子に平気で「ブス」と言い、かわいい子だけひいきするくせに、キャーキャー言われたいからステージにも立つ。こんな男子がそのままおとなになって、ダーイシやサブ北島になり、野猿もやった。私たちは彼らの体を張ったおふざけに「やりすぎだよ」と言いながら、爆笑してきたのだ。
違和感があったのは、そんな悪童であり続けたい彼らに「ありがとう」とメッセージを贈ったこと。とんねるずはずっと「いい人」になろうとはしていないからだ。お笑いタレントにとって「いい人」に押し込められるのは迷惑だ。それでも視聴者は「ああ見えて本当はいい人」と思いたがる。その圧力をはねのけ続けたことが、この番組のすごみだった。
東京でのデビューシーンは見損ねたが、『ビックリハウス』(※編集部注 1974年から1985年まで発行されたサブカル雑誌)の愛読者で長く彼らを見ていた私は、またしれっと冠番組を持つだろうと思っている。とんねるずに見送りの拍手はいらない。