国際情報

南北の接近と急展開には金正恩氏の実妹・金与正氏もびっくり

「後戻り」する気はなし!? YONHAP NEWS/AFLO

 北朝鮮の「微笑み外交」に乗じても、何ら果実を得られないことは、歴史が証明している。にもかかわらず、なぜ北朝鮮の術中に、文在寅政権は自ら嵌まるのか。韓国人ジャーナリスト・朴承ミン氏が深層を読む。

 * * *
 前政権の南北軍事協議では北朝鮮代表らは、意見が対立したり、誤りを指摘されたりすると会議の途中に席を蹴飛ばして出ていく場面があった。しかし今回、板門店で行われた五輪参加問題や芸術団・応援団などに関する協議はすんなりと進んでいた。

 水面下でお膳立てがなされていたのだろう。前政権で遮断された南北の秘密交渉パイプ(チャンネル)が復活したといわれている。

 韓国の政府関係者が昨年末に少なくとも2回以上、平壌を訪問し、韓米軍事演習中断と北の平昌五輪参加を話し合ったという。

 遂には、金正恩委員長は実の妹・金与正労働党副部長を国際舞台にデビューさせた。金与正氏は2月11日に大統領秘書室長のイム・ジョンソク氏主催の晩餐会で、乾杯の辞を勧誘されると、こう呟いたという。

「率直に(正直に)言って、このように急に(韓国に)くるようになるとは思ってなかったが……」

 金与正が、こう本心を吐露するほど、南北の接近は急展開を見せている。

 北朝鮮がそれほど韓国と密に連係をとるのも、財政事情が悪化しているからに他ならない。また、仮に南北会談を進められれば、米国も軍事措置は取り難い。それを口実に核や、大陸間弾道ミサイル完成までの時間稼ぎをするつもりだろう。

【PROFILE】朴承ミン(パク・スンミン)/時事通信の元ソウル支局記者。長年、北朝鮮問題と韓国政治を取材。その間に平壌と開城工業団地、金剛山など北朝鮮の現地を5回ほど訪問取材。現在、韓国と日本のメディアに寄稿している。

※SAPIO2018年3・4月号

関連記事

トピックス

第一子を出産した真美子さんと大谷
《デコピンと「ゆったり服」でお出かけ》真美子さん、大谷翔平が明かした「病院通い」に心配の声も…出産直前に見られていた「ポルシェで元気そうな外出」
NEWSポストセブン
2021年に裁判資料として公開されたアンドルー王子、ヴァージニア・ジュフリー氏の写真(時事通信フォト)
「王子と寝ろ」突然のバス事故で“余命4日”ののち命を絶った女性…告発していた“エプスタイン事件”【11歳を含む未成年者250名以上が被害に】
NEWSポストセブン
日曜劇場『キャスター』(TBS系)で主演を務める俳優の阿部寛
《キャスター、恋は闇…》看板枠でテレビ局を舞台にしたドラマが急増 顕著な「自己批判や自虐」の姿勢 
NEWSポストセブン
人気シンガーソングライターの優里(優里の公式HPより)
《音にクレームが》歌手・優里に“ご近所トラブル”「リフォーム後に騒音が…」本人が直撃に語った真相「音を気にかけてはいるんですけど」
NEWSポストセブン
世界中を旅するロリィタモデルの夕霧わかなさん。身長は133センチ
「毎朝起きると服が血まみれに…」身長133センチのロリィタモデル・夕霧わかな(25)が明かした“アトピーの苦悩”、「両親は可哀想と写真を残していない」オシャレを諦めた過去
NEWSポストセブン
キャンパスライフをスタートされた悠仁さま
《5000字超えの意見書が…》悠仁さまが通う筑波大で警備強化、出入り口封鎖も 一般学生からは「厳しすぎて不便」との声
週刊ポスト
事実上の戦力外となった前田健太(時事通信フォト)
《あなたとの旅はエキサイティングだった》戦力外の前田健太投手、元女性アナの年上妻と別居生活 すでに帰国の「惜別SNS英文」の意味深
NEWSポストセブン
エライザちゃんと両親。Facebookには「どうか、みんな、ベイビーを強く抱きしめ、側から離れないでくれ。この悲しみは耐えられない」と綴っている(SNSより)
「この悲しみは耐えられない」生後7か月の赤ちゃんを愛犬・ピットブルが咬殺 議論を呼ぶ“スイッチが入ると相手が死ぬまで離さない”危険性【米国で悲劇、国内の規制は?】
NEWSポストセブン
1992年にデビューし、アイドルグループ「みるく」のメンバーとして活躍したそめやゆきこさん
《熱湯風呂に9回入湯》元アイドル・そめやゆきこ「初海外の現地でセクシー写真集を撮ると言われて…」両親に勘当され抱え続けた“トラウマ”の過去
NEWSポストセブン
左:激太り後の水原被告、右:
【激太りの近況】水原一平氏が収監延期で滞在続ける「家賃2400ドル新居」での“優雅な生活”「テスラに乗り、2匹の愛犬とともに」
NEWSポストセブン
笑顔に隠されたムキムキ女将の知られざる過去とは…
《老舗かまぼこ屋のムキムキ女将》「銭湯ではタオルで身体を隠しちゃう」一心不乱に突き進む“筋肉道”の苦悩と葛藤、1度だけ号泣した過酷減量
NEWSポストセブン
折田楓氏(本人のinstagramより)
「身内にゆるいねアンタら、大変なことになるよ!」 斎藤元彦兵庫県知事と「merchu」折田楓社長の“関係”が県議会委員会で物議《県知事らによる“企業表彰”を受賞》
NEWSポストセブン