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自己資金50万円で「ソフト闇金」を始めた大学生の“事業戦略”

大学生が「ソフト闇金」を運営

 国や都道府県に貸金業としての届け出を行っていない業者である「闇金」は、異常な高金利や厳しい取り立てにより大きな社会問題となった。取り締まりが強化されたこともあって、一時のような厳しい取り立てや高い金利の闇金は姿を消したが、代わりに少し高い金利で気長に取り立て続けるソフトな闇金がはびこっている。とくに最近は、犯罪組織とはつながりがない普通の人たちによる独立した闇金業者が増殖している。ライターの宮添優氏が、闇金を営む普通の大学生のビジネスをレポートする。

 * * *
 漫画の題材にもなるなど話題になった「闇金」業者。当局による徹底的な締め上げにより、闇金業者は一時期壊滅寸前にまで追い込まれた。はずだったが、ここにきて「闇金業者が増えつつある」と嘆くのは、捜査関係者。

「以前は暴力団組織に直結した闇金業者が多く、暴排条例(※暴力団排除条例)をもって、末端から親である組長や幹部までをしょっ引くこともあった。しかし、最近の闇金はノウハウこそ暴力団などの”本職”から受け継いではいるが、実務はいわゆる”反グレ”以下の、まんま素人がやっているケースも目立つ。金のないごく普通の若者や、食えなくなった老人などが闇金業者として活動しているケースも多く、実態がなかなかつかみづらい」(捜査関係者)

 実際に、今年に入ってからも違法な「闇金業者」の摘発が相次いでいるが、逮捕された容疑者らの内訳をみると、暴力団関係者と認められる人間よりも、そのほとんどが「素人」に分類される属性であるという。また、素人が気軽に「闇金業者」として暗躍できる背景には「道具」が簡単に手に入りやすい、昨今のアングラ事情が深く関係していると、事情通が説明する。

「闇金に必要なのは、数百万の種銭(資本金)とトバシの携帯(※飛ばし携帯とも呼ばれる。他人や架空名義で契約された携帯)と名簿、いわゆる”道具”の三点セットです。極端な話、これがあれば、今日から一人で闇金業者を始められます。最近は”ダークウェブ”上の掲示板や交流サイトで道具は簡単に手に入る。資本金が数十万でも闇金ができますね」(事情通)

 ダークウェブとは、特定のウェブブラウザを用いないとたどり着けないインターネット空間のこと。検索エンジンからはみつけられず、専用のアプリなどを使って暗号化された通信を利用しないと使用できないため、違法な情報がやりとりされている事例も多く、危険視する声が上がっている。

 都内の私立大学に通うTさん(24)も、ダークウェブを使って零細「闇金」を営み、月に数十万円の儲けを出している。Tさんの場合、ノウハウも何もないが、ネット上で知りえた知識とダークウェブを使うことで「完全匿名」状態を構築し、闇金業務をこなしていると話す。

「トバシの携帯は一台数万で手に入る。携帯でなくても、海外の通信会社がやっている電話転送サービスを使っても足がつかない。名簿は違法な名簿屋にオーダーし、たまに”官報”を見てターゲットを狙います」(Tさん)

 Tさんがいう名簿屋とは、主にダイレクトメールの発送代行などを行う業者のこと。表向きは法に抵触することなく営業しているが、いわゆるシノギとして裏稼業に手を染める場合があるのだ。このような名簿業者を取り込み、もしくは名簿業者からの営業を受け、各学校の卒業生から、エリアごとの居住者名簿だけでなく、破産者やアダルトビデオ購入者、高額納税者、重病罹患者など、あらゆるジャンル毎に分けられストックされた違法に名簿を入手し、シノギに用いる。

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