ビジネス

ユニクロも好調のネット通販 苦境のアパレル業界を救うのか

ユニクロ公式オンラインストア

 いまや、日用品から生活雑貨、家電や食料品まで、あらゆるネット通販が隆盛を誇り、リアル店舗の売り上げを奪いかねないほど重要な販促ツールになっているが、その波はアパレル業界にまで及んでいる。「洋服は試着してみなければ分からない」という消費者の不安を払拭して、さらなる発展が見込めるのか。ファッションジャーナリストの南充浩氏がレポートする。

 * * *
 バブル崩壊以降、アパレル市場の苦戦がいわれて久しいが、今、脚光を浴びているのはネット通販である。

 ネット通販市場はこの10年間で3倍以上に伸び、今では16兆円の市場規模にまで成長している。それに加えて、「ZOZOTOWN(ゾゾタウン)」を運営するスタートトゥデイの成長ぶりによって、不振にあえぐアパレル各社は「ネット通販こそ新天地」というくらいの勢いで飛びついている。だが、果たしてそれは正しいと言えるのか?

 たしかにネット通販は新しく有望な販路ではあるが、安易に戦略なしに出店しても埋没してしまう可能性が極めて高い。

 それはなぜか。ゾゾタウンだけでもすでに4000近いブランドが出店している。超有名ブランドならそこに出店してもネットで検索してたどり着いてくれるファンが多数見込めるが、無名のブランドならどうだろうか。そもそも検索してもらうにしてもブランド名すら知られていないので、検索なんてされるわけがない。「知られていないのは存在しないのも同然」といえる。

 有名な数百のブランドを押しのけてまで無名なブランドを探したいという人がどれほど世の中に存在するのか。ちょっと考えただけでも分かるだろう。

 また大手ネット通販サイトのヤフーショッピングだと40万店、楽天でも4万店の出店がすでにある。無名のブランドがポッと思いつきだけで出店したとしても埋没するのが関の山である。リアル店舗で想像してみれば容易に理解できるだろう。4万店も入店しているショッピングモールで誰がわざわざ無名ブランド店まで足を運んでくれるというのか。

 さらに気を付けねばならないのは、ネット市場規模の「16兆円」という数字である。これは何も服だけの売上高ではない。全商品の売上高なのである。当然そこには本、家具、消耗品、日用品、食品、家電製品、化粧品などのありとあらゆる製品の売上高をすべて合わせて16兆円だ。

 そうなるとアパレル各社が想像しているよりも「服だけ」のネット通販市場規模は当然小さくなる。

 現在のウェブ通販市場でそれなりの集客をしようとするなら、極めて緻密な戦略が求められ、何も考えずに出店したところで埋没してしまって集客も売上高もほとんど望めないのが実情だ。

関連キーワード

関連記事

トピックス

サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(X、時事通信フォト)
大麻成分疑いで“ガサ入れ”があったサントリー・新浪剛史元会長の超高級港区マンション「かつては最上階にカルロス・ゴーンさんも住んでいた」
NEWSポストセブン
サークル活動にも精を出しているという悠仁さま(写真/共同通信社)
悠仁さまの筑波大キャンパスライフ、上級生の間では「顔がかっこいい」と話題に バドミントンサークル内で呼ばれる“あだ名”とは
週刊ポスト
サントリー新浪剛史会長が辞任したことを発表した(時事通信フォト)
《麻薬取締法違反の疑いでガサ入れ》サントリー新浪剛史会長「知人女性が送ってきた」「適法との認識で購入したサプリ」問題で辞任 “海外出張後にジム”多忙な中で追求していた筋肉
NEWSポストセブン
『週刊ポスト』8月4日発売号で撮り下ろしグラビアに挑戦
渡邊渚さんが綴る“からっぽの夏休み”「SNSや世間のゴタゴタも全部がバカらしくなった」
NEWSポストセブン
米カリフォルニア州のバーバンク警察は連続“尻嗅ぎ犯”を逮捕した(TikTokより)
《書店で女性のお尻を嗅ぐ動画が拡散》“連続尻嗅ぎ犯” クラウダー容疑者の卑劣な犯行【日本でも社会問題“触らない痴漢”】
NEWSポストセブン
オリエンタルラジオの藤森慎吾
《オリラジ・藤森慎吾が結婚相手を披露》かつてはハイレグ姿でグラビアデビューの新妻、ふたりを結んだ「美ボディ」と「健康志向」
NEWSポストセブン
川崎、阿部、浅井、小林
〈トリプルボギー不倫騒動〉渦中のプロ2人が“復活劇”も最終日にあわやのニアミス
NEWSポストセブン
別居が報じられた長渕剛と志穂美悦子
《長渕剛が妻・志穂美悦子と別居報道》清水美砂、国生さゆり、冨永愛…親密報道された女性3人の“共通点”「長渕と離れた後、それぞれの分野で成功を収めている」
NEWSポストセブン
結婚を発表した趣里と母親の伊藤蘭
《母が趣里のお腹に優しい眼差しを向けて》元キャンディーズ・伊藤蘭の“変わらぬ母の愛” 母のコンサートでは「不仲とか書かれてますけど、ウソです!(笑)」と宣言
NEWSポストセブン
寄り添って歩く小室さん夫妻(2025年5月)
《お出かけスリーショット》小室眞子さんが赤ちゃんを抱えて“ママの顔”「五感を刺激するモンテッソーリ式ベビーグッズ」に育児の覚悟、夫婦で「成年式」を辞退
NEWSポストセブン
負担の多い二刀流を支える真美子さん
《水着の真美子さんと自宅プールで》大谷翔平を支える「家族の徹底サポート」、妻が愛娘のベビーカーを押して観戦…インタビューで語っていた「幸せを感じる瞬間」
NEWSポストセブン
24時間テレビで共演する浜辺美波と永瀬廉(公式サイトより)
《お泊り報道で話題》24時間テレビで共演永瀬廉との“距離感”に注目集まる…浜辺美波が放送前日に投稿していた“配慮の一文”
NEWSポストセブン