森友学園問題で官僚の忖度を世間が知るところとなったのも、昭恵氏の善意のリスクによるものだ。本人が良かれと思ってやっているので、善意の人を止めるのは難しいだけでなく、相手も善意だと思い込み疑うことをせず、信じてしまうからタチが悪い。あれ?と思っても、自分の中にわき上がった疑問を、そんなはずないと自分で打ち消してしまう。そうでなければ自分の行為は正当化されず、善意にならないからだ。

 次に、天真爛漫さからくるリスク。天真爛漫な人というのは魅力的だ。だけど裏を返せば、脇が甘く無防備で熟考しない。天真爛漫が故に、リスクに対する感受性は低くなる。すると、その後に何が起こるか、容易に気づくはずのリスクが予見できない。そもそも、リスクがあるかどうかなど考えもしない。断定するわけではないが、彼女の言動を見ていると、そう思えてきてしまう。

 だから後の影響なども考えない。自由に発言もすれば、「いいね!」ボタンも押してしまう。会いたいと思えば誰とでも会い、どこにでも出かけて行く。目の前のリスクに気がつかない、見ようとしないというのは、いかにリスクを回避するかに神経を使う霞が関や永田町の論理とは正反対だ。だから彼女の言動は彼らにとって予想がつかない。

 ちなみに、善意のリスクを減らすため、メキシコ地震では専門家が短期の講座を開いたという。リスク感受性を高めるのも適切なトレーニングだ。

 政府も自民党も彼女の動向に戦々恐々としているより、ここはひとつ、専門家による「昭恵氏専用危機管理室」を官邸に作るというのはどうだろう?

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