「早く投手に一本化した方がいい。二刀流は肉体的にも精神的にも消耗が激しい。試合を作るのは先発投手。どのチームも欲しがるわけだから、その才能を投手に集中させるべきだろう。守らせずにDHとして起用するのはとりあえずは賢明だが、いずれ一本に決断せざるを得ない。確かに二刀流が成功することは戦力を厚くするが、だからといってトレンドになるとは思えない。それほど二刀流というのは難しいことなんだ」
ビッグネームの投手たちも二刀流の厳しさを口にする。メジャー屈指のクローザー、ケンリー・ジャンセン(30・ドジャース)は、こう断言する。
「大谷がどうのというより、このレベルで二刀流をやること自体が不可能。早く自分に合ったほうに専念すべきだ」
アマチュア時代からその剛腕を知られてきたスティーブン・ストラスバーグ(29・ナショナルズ)は、こうアドバイスする。
「長いシーズンを乗り切るのは想像以上に大変なことだ。自分の体によく耳を傾け、必要なときにはしっかり休むことも大事だよ」
意見は様々だが、フルタイムの二刀流の姿を楽しみにしていることは共通している。これほどデビューが待望される新人は、少なくとも過去30年間いなかった。
●取材・文/出村義和(スポーツジャーナリスト、J SPORTS解説者)
※週刊ポスト2018年4月6日号